魔法使い 二階堂順平の物語

歳桃晃弘

第1話 二階堂順平の誕生

 二階堂順平は東京都新宿区にある病院で誕生した。

 体重は人並み。重すぎず、軽すぎず。彼の誕生に両親は喜んだ。

 父は二階堂幸平、母は二階堂瑞希。

 二人とも二十八歳である。結婚適齢期に結婚し無事、第一子を出産した。

 順風満帆である。


 二階堂家は東京都内のマンションで生活を送っていた。それも順平が小学校に入学しようかという時にその生活には終止符が打たれた。

 父、幸平が北海道札幌市に引っ越しをすると宣言したからだ。

 順平は両親が同じ職場で働いていることは知っていたが、それ以上詳しくは知らなかった。両親にどんな仕事をしているか聞いても「それは順平がもう少し大きくなったらな」と言われかわされてしまう。

 だから、父が引っ越しをすると言ったときは仕事の都合だろうか、などと思っていた。

 しかし、通園する幼稚園で順平は良好な人間関係を築いていたため、人間関係が失われてしまうことにはがっかりとした。


 二階堂家は札幌市の郊外に一戸建て住宅を建設し移住した。順平はやけに家が大きいな、と感じた。

 それからほどなく順平は小学校に入学することになる。順平は社交的な性格で友人を増やしていった。社交的な性格は両親譲りだろうか。

 小学校低学年のころの両親は順平が出かける少し前に働きに出て、夜六時ころに帰ってくるという生活を送っていた。

 この頃から二階堂家には使用人が出入りするようになった。順平はなんとなく周囲と比べ自分の家庭が裕福なことに気が付いていた。


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