第28話

「これが光りの能力です」

「そうなのね。攻撃の無効化と、能力を消失させる。無敵じゃない」

 くれないが言うと、

「ニャー」

 佐久間が何か言った。

「なんて言ったの?」

 紅が聞くと、今井が答えた。

「光の能力者は、攻撃できない。防御も出来ない」

「でも、攻撃を無効化できるでしょ?」

「ニャー」

「無効化は意思によるもので、不意打ちされれば、それも出来ない」

「それじゃ、すぐに死んじゃうわよ」

「ニャー」

「だから彼女は死んだ」

「弱すぎる救世主ね」

「ニャー」

「彼女は死をもって、人々を守った」

「それで、いにしえの者たちは、滅んだわけじゃないでしょ?」

「ニャー」

「すべての古の者を無力化したわけじゃない。縛られている者は、能力を消されていない」

「それで、平和は訪れたのかしら?」

「ニャー」

「しばらくは平和だった。しかし、歴史は繰り返される」

「それじゃ、また、同じことの繰り返しなのね」

「ニャー」

「そうだ。だからこそ、今もなお、それが続いている」

「そのようね。でも、まあ、退屈するよりいいわ」

「ニャー」

「そう言っていられるのも、今の内だ。更なる強敵や、集団が現れるかもしれない。歴史は繰り返される」

 佐久間は意味深な発言をした。それには今井も自分で言って驚いている。

「そんな敵が現れるんですか?」

「ニャー」

「ああ。俺が光りの能力者に救われた時のように。今は鳴りを潜めている者たちが動き始めるだろう。それで、お前が覚醒したのだ」

「え? 僕が覚醒したのは、そのためなんですか?」

 今井が言って、今井が答えるという、独り芝居のようになっている。

「今井さん、一人でしゃべって面白いわ」

 紅がクスッと笑った。

「笑っている場合じゃないですよ」

 今井は真剣な顔で言った。

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