「挨拶をしない家族」

田渡 芳実 (たわたり よしみ)

第0話 プロローグ  

 数十年振りに、「その子」をフェイスブックで見た。


 時間のある時に、学生時代に親しかったが最近は、疎遠そえんになってしまってる知人や友人の現況を眺めて、人間観察をしてた時だ。

 

 小さい赤ん坊を抱いて、どこかで家族や親戚で会食でもしてるのあろうか。


 何の気なしに、フェイスブックで検索を掛けただけであったが、面影が非常に濃く残ってる。


 太い眉毛に、クッキリとした二重瞼にじゅうまぶたくせのある巻き毛の短髪で黒髪。恥ずかしさが混じる愛想笑い。


 だが、最大の変化は「その子」が、赤ん坊を抱いていると言う事だった。


「・・・赤ん坊にはさせてあげてて欲しいな・・・。」


 私は溜息と、綯交ないまぜにした吐き気の出る、感想を床に転がせた。


 余りにも、この子とは…色々あった…いや、問題の根源は、正確にはこの子の両親であった…。


 何十年も経過しても結局あれは何だったのであったか、謎のままである。


 ただただ、理不尽で不可解なだけであったで、皆、不幸になった。


 全ては「その子」の両親に闇にほうむられたのである。


 周囲は地獄と化した。








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る