奇跡

お前に出会ったのは、随分前の凍える夜の事だった。

迷子の子猫のように、怯えた目をして俺を見上げていた。

差し出された俺の手を震える手で握り返して、細い脚で何とか立ち上がったお前は、捨て猫の様にさえ思えた。

そのまま放ったらかしにも出来ずに、うちに来るか?と問いかけると、小さく頷いてトコトコと着いてきた。

風呂に入れて、乾かし、食事を取らせて、布団をかける。

俺は、安心した顔をして眠るお前を見て、途方に暮れたっけ。


あれから、随分と長い時間が過ぎていった。

俺の隣にはお前がいて、お前の隣には俺がいる。

お前のいない朝は考えられず、お前と共に眠るのが当たり前の日々。

ずっとお前を守っているつもりだったが、俺がお前に守られていたのかもしれない。


これからもまだまだ、よろしくな。

お前に出会えた奇跡を、俺の腕の中で眠るお前を、お前と共に生きるこれからを、ずっと大切にしていくよ。

約束する。

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