第9話 2 Days Ago

 莉緒が目を覚ました時、部屋の中が暗かった。

(そんなに眠っていなかったのかな?)

 体を起こすと、時間を確認しようとスマホを見ると、画面が暗かったので枕元に置いてある充電ケーブルを差し込み、ベッドの足元にある延長コードに差し込んだ。

 充電が開始できたことを確認した莉緒は、ベッドから降りるとキッチンに行く。

 キッチンの灯りをつけて、冷蔵庫をのぞくと律の文字で、

『目覚めたらこれを飲んでください』

 とメモが貼ってある小さな透明な瓶が入っていたので、ふたをねじって開けるとそのまま飲む。

 飲み終わった後にトイレに行き、そのまま自分の部屋に戻る。

 

 スマホの電源を入れると、起動画面となり、やっと時間を確認することができたが、莉緒は驚く。

(まる1日経っている……?)

 律にチャットを送ろうとした時に、スマホが話し始める。


『莉緒さんはあと2日後に亡くなります。心の準備はできましたか?』


 莉緒は悲鳴を上げ、スマホを放り投げるとベッドに潜り込む。

 怯える莉緒の耳元で、女性の話し声がはっきりと聞こえてくる。

『あなたは邪魔なのだから、早く消えてほしいわ』

 莉緒は耳を塞ぐがそれでも女性の声が聞こえてくる。

 布団を頭から被り、震えていると、今度は部屋の中を誰かが歩く音が聞こえてくる。

(早く消えて!)

 そう願ったが、音はずっと聞こえていて、莉緒は眠ることなく朝を迎えた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る