カウントダウン

高岩 沙由

第1話 10 Days Ago

『りおさん、お休みの時間ですか?』

 もう寝るよー。

『明日の予定は19時から律とのデートがあります』

 久しぶりのデートなの!

『明日の天気は、晴れのち曇り、降水確率は70パーセントです』

 折り畳み傘を持っていったほうがいいかな?


 莉緒の愛用しているAI搭載のスマホは揺らすとおしゃべりしてくれて、予定とか天気を話してくれる。

 今日もベッドの上に座り、眠る前の読書をしている時に姿勢を変えようと動くとスマホが話し出したので、誰もいない部屋、スマホに向けて話していた。


『そうだ、りおさん。あと10日後に亡くなります』

 ん?

 どういうこと?

「もう一度」

 スマホに話しかける。

『はい、明日の天気は、晴れのち曇り、降水確率は70パーセントです』

 それじゃない。

「もう一度」

『はい、明日の天気は、晴れのち曇り、降水確率は70パーセントです』

 さっきのは聞き間違えたのかな?

 ただ、何となく、気味が悪かったので読書を中断して眠ることにした。


『おはようございます。朝になりました』

 翌朝、スマホのアラームで目が覚めると、いつものように話している。

 シャワーを浴びて、化粧をする合間にパンを焼いてお湯を沸かす。

『りおさんの使っている電車に遅れはないそうです』

 時折、スマホが話しているのを聞きながら、出勤の準備を手際よくやる。

 準備が終わり次第、慌ただしいけど、インスタントのスープとパンで朝食を終わらせると駅に向けて家を飛び出した。 

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