パチンコ玉に転生した無職のダメ人間、大当たりを狙う
酒絶 煙造
第1話 銀次
「ピピピピピ――」
とあるボロアパートの一室に、スマホのアラーム音がリンリンと鳴り響いていた。
碌に洗濯してないダニまみれの敷布団に包まっていた銀次は、スマホのアラーム音を消すと、ダルそうにして起き上がった。そして、寝惚け
ユニットバスを出ると、銀次は部屋着からヨレヨレの色褪せたTシャツ、何日も洗っていないジーパンに着替えた。これで外出するための一通りの準備は完了。ヨシッと満足気な表情で、銀次は心のセットを固めた。
締めに、お気に入りの黒のショルダーバッグを肩に背負い、玄関で底が擦り減ったスニーカーを履いた。
「バタンッ」
そして玄関のドアを開け、銀次は勢いよく外の世界へと飛び出した。
先ず銀次が向かったのはアパートの駐輪場。そこにとめてあるメンテナンスを怠り切ったボロボロな自転車。そのサドルに銀次はまたがった。そして、ペダルを漕ぎ出した。
――目的地はいつもの所。パチンコ屋だ。
銀次は高校卒業後、人生について何かしらの目標を持たずに、完全に勢いのみで一人暮らしを始めた。仕事も何となくと様々なバイトを渡り歩いた。だが、数年前にコンビニのバイトを辞めて以降、銀次は現在まで働いていない。
そんな無職の銀次が足繁くパチンコ店に通う理由――それは娯楽目的ではなく、生計を立てるため。
「何としても勝たなきゃ――」
変速機能が壊れ、妙な摩擦音が生じている自転車のペダルを、銀次はハアハア必死に漕ぎながら、この日の必勝祈願をした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます