第14話 【アヤと過ごした夏】の裏話悲話、駆け落ちのすすめ。

 なにを隠そう、この作品(小説)は、婆雨まうの処女作で、作者の特徴が最もよく表れている、原点と呼べる作品だと思います。


 もちろんフィクションですが、アヤという女性は実在していて、自由奔放で、まさにアヤそのもの。長野ツーリストという会社に勤める、スレンダー系の社長令嬢でした。


 彼女と知り合ったのは、グアムから転勤でサイパンに渡り、数ヶ月してからで、知り合ったときには、彼女は既にフィアンセがいました。


 知り合った当時は、彼女はフィアンセがいることを隠していました。彼女にフィアンセがいると知ったのは、彼女が挙式を1週間後にひかえた晩、まさに彼女が、サイパンへと旅立とうとしている時、彼女は私に真実を打ち明けました。


 一通の書き置きを実家に残してきたこと、彼女は涙ながらに語りました。

 別れることも選択肢にありましたが、私は彼女を受け入れる道を選びました。

 嫌いだなんて、口が裂けても言えませんでした。


 サイパンの私のアパートに、深夜、何度も彼女の父親から電話が入り、娘を知らないか、どうしてくれるんだ。何度も問い詰められ、ついに隠しきれず、父親に真実を打ち明けるのでした。


 わたしは彼女と結婚を決意し、サイパンを引き払う準備をしました。幸い、会社の方は退職にならず、本社の経理部に受け皿になっていただきました。


 長野から、親戚のおじさんの家に移り住んだ彼女は、今はなき、ホンダクリオ横浜関内店に、おじさんのコネで入社し、横浜は戸塚舞岡町と、海老名との恋がようやく実るのでした。


 幸せを実感するのも束の間。やはり人様の幸せを横取りした罪悪感、人を不幸にして自分だけが幸せになることは許されません。罪悪感から、彼女は知れず元フィアンセの亡霊に苦しみ、ついに破局を迎えるのでした。


 彼女が元フィアンセのアパートに泊まりに行ったのが、風の噂で私の耳に入り、ついに恋は成就することなく終わりを迎えました。


 後日談になりますが3年後くらいでしょうか。

 彼女にお金を25万ほど、渡しました。


 サイパンに旅行しようと盛り上がり、2人の旅行費用を彼女に渡しました。

 けれど旅行は実行されることなく、お金だけがどこかに消えてしまいました。


 また、彼女が横浜ホンダクリオ関内店に勤務していた頃、営業マンと浮気していたことも、後日知りました。


 人の心は秋の空色です。

 移ろいやすく、永遠と呼べるものなど、この世にないのかもしれません。


 自由奔放な彼女でした。

 いや自分に正直に生きていただけなのかもしれません。

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