先生、私は間違っていますか……?

雨宮 苺香

第1話 枯れた世界

 2020年冬。私は生きている。生きて生きて息して恋している。


 しかし、半年前。夏だったあの頃は私の半分が死んでいた。枯れかけていた……。

 そう、日本も。




 ──────




 日本を枯らしたのはある病気だった。



 発症場所:日本(1例目死亡日:2018.11.11)


 症状:初期はうつ病と同症状であり、気持ちが沈み、生きることに対しての嫌悪感に包まれる。

    生きることを諦めた途端、病状は急激に悪化。極端に無気力化が進み、枯れるように静かに死へと向かう。



 病名:うつびょう



 この病気は未だ、解明されていない。ましてや治る方法も今の社会では解明出来ていないのだ。

 ただ1つ言えることとすれば、人が死んでいる。

 死んで死んで死んで死んで、世界が雨に打たれている。




 ──────




 うつ枯れ病が流行したと考えられる要因として、急激な世界恐慌が挙げられていた。

 景気が悪くなり、失業者が増え、大人たちがうつ病になりやすかった。生活が不便になると、少しでも稼ごうとバイトや内職を増やし、質のいい睡眠は取れなくなる。そして脳が休まらないことにより、よくない事ばかり考えてしまう。


 そう、テレビの中の人が考察を広げていた。

 何をいまさら、私はため息を落とす。……もっと早くに考察してくれればよかったのに。


 うつ病は精神病。だから死ぬことはない。身体は元気である。

 以前の甘い考えのせいでこの世界が壊れた。そう言っても過言ではない。

 亡くなってしまった人達はたまたまだ、と半年ほど放置され、悲劇の連鎖がしばらく続いていたから――。


 でもある医師が連鎖を断とうと立ち上がった。



「人が死んでいるんです。そこには何かしらの理由がきっとあるはずです……!」



 1年ほど前の言葉。世界を動かした彼は河野こうの 大夢ひろむという精神科医であった。その日から昼のニュース番組にひっぱりだこな有名な先生だ。テレビで彼を見ない日はないだろう。

 彼はうつ枯れ病の原因解明のために仕事をしていて、都内の総合病院で働いている。

 それだけじゃない。

 私のでもあったのだ。


 そう、私はである。


 ここまでこんなにも意志を持って話している私は無気力ではない。うつ枯れ病患者の私がなぜこんなにも元気かって? それはね、たぶん恋をしたから。恋をしてしまったから……。



 ──私はふと時計を見上げた。

 もうすぐ10時になる。私の好きな人がこの部屋にやってくる時間だ。私は深く息を吸った。

 嘘を、つかなくちゃ……。





 ******




 新作に足を運んでくださった皆さん、ありがとうございます! 雨宮苺香です🍓

 今作は新型コロナウイルスを意識し、世界の暗さを表現しながらも、そこから少女がどう生き、どんな選択をするのか。それがどんな結果をもたらすのか、という世界に縛られない生き方を描こうと思い、書き始めた作品となります。

 まだまだ感染が爆発しているコロナウイルス。

 精神病は感染せずとも、世界が暗ければしていくものです。


 だからこそ私は、世界を少しでも照らしたい。

 若き私が立ち上がることで周りの人々が1歩前に歩き出すような、そんな物語を創りたいと思います。


 私なりにメッセージを込めながら、毎日更新していくので、どうぞ最後までお付き合いください*.+゚

 作品のフォローやレビューもお待ちしております! モチベーションにも繋がるので気軽によろしくお願いします!!

(更新時間:月水金土曜日の18~21時に行います! 遅れる場合はTwitterにて連絡しますのでご確認くださいm(*_ _)m)


 それでは続きをお楽しみください!

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