二ノ巻『闇に響くは修羅天剣』 序章 修羅
闇の中、ばちり、ばちりと音がする。火花の散るような音がする。
しかしそこに明かりはなかった。
それは叩きつけられていた。立ち木の中の一本の木、人の首ほどの太さの木に。天へ振りかぶられた
ばちり、と音を立て跳ね返ったそれは、また天へと振りかぶられ。反対側の斜め下へ、風を切りながら振り落とされた。
振るうのは、
そうだ、男は歯噛みしていた。白い歯を
やがて。男の後ろに影が
竹刀の音がやみ、
その竹刀から音がした。みちり、みちり、と音がした。まるで握り潰すような、弓の
果たして、立ち木はへし折れていた。ゆらめく影の中で振り抜いていた、その手の竹刀ともろともに。
枝葉を鳴らして倒れる木の前、ゆらめく影に
――それを、陰から二人は見ていた。
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