6話 魔法解説
やはり両親にはとても心配されていたようでベレニスには冷たい目で見られ父ヴェインには苦笑を貰ったレティシアはその日は大人しく約二週間ぶりの自室のベットで眠ることにした。
だが眠れるはずがなかった。あんな楽しいことが起こったのだ、この間の死体男の比ではない喜びと興奮を身に宿す。
しかし同時にことが重なりすぎていることにも気がついていた。
これを偶然と片付けてもいいものかと、レティシアは思考の物事に付属し続けるその問いを吟味する。
関連性など皆無なこの数々はすべて不可解を残しながら存在する。それはまるで意識せざる得なくされたかのように。
だが不可解だからこそその先には進まない。進めない。
(寝よう)
すべての疑問を置き去りにしレティシアは安息を貪る。
■■■
翌日
「さて、今日は魔法に関しての復習から始めたいと思う。」
今は魔法学の授業の真っ最中、この辺りの学問はレティシアにとっても優良なのでかなり真剣に聴く体勢に入っている。
「魔法とは神の御使いである天使様から授けられた力だ。約5000年前、人々はなんの力も持たなかったが為に魔物たちに無惨に惨殺されていたらしい。そんな姿を天使様が見かね、その対抗手段として贈られたのが聖遺物である『神の欠片』だ。それに触れることで魔法という神の力を一部行使できる。まさに恩恵とも言っても過言ではないだろうな」
胡散臭い。
レティシアは思った。
(天使が、見かねる?なぜそこで神自身が助けに来なかったのでしょうか)
この世界では神の存在が証明されている。なのでその名称が出てくるのはたいして不思議ではない。
だが天使の存在は曖昧だった。いる、ということは知られているが容姿や性格などの具体的なものは一切流出していないのだ。いや、それを言うのなら神も似たようなものなのだが···。
それに最も不可解なのはそこではない。
(神の御使いであるにも関わらず、神の意志に関する言葉を天使は一度として話したと言う記述は、ありません)
レティシアの思考をおいて、話は進む。
「皆の知っての通り君たちが18歳なると教会で受ける神聖儀式で『神の欠片』に触れることになる。これは誰しも平等にと、そう、天使様が仰ったと言われている。うん、やはり天使様は素晴らしいな!」
(また天使、ですか...)
脳裏に写るは昨晩の本。
天使にも隠したかった禁断の秘密。
(ええ、ええ。やはり、解き明かしたい。)
そこにもしかしたら、もしかしたら、と思いを馳せる。
「楽しくなってきましたね。」
小さく呟いた。
そのあと授業は魔法学ではなく天使の素晴らしさを聴く場になっていた。
(お、終わりませんね)
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