第37話 エマのチーム
エマ達が拠点兼住居にしている場所はメリーランド州の高級住宅街。
見た目は5階建てのマンションだが、1階が共有スペースで、主にダンジョンの作戦会議を行っている。
2、3、4、5階がそれぞれの住居で、1人1台エレベーターがある豪華仕様だ。
企業に所属しダンジョンへ出向くグループは企業が建てた寮に住む場合が多いが、個人で活動するチームは一緒に行動しやすいよう近くに住んだり、エマ達のように一緒に住むことも珍しくない。
到着したエマとトーマスが1階のドアを開けると、2人の仲間が出迎える。
「2人ともお帰りなさい。少し早かったわね」
「エミーちゃんもトーマスちゃんもお帰りなさぁーい!」
頼りがいのあるお姉さん的存在の、クロエ・シエンと、オネエのマット・リゴンだ。
「ただいま」
「エミーが会見後の取材全部断って大変だったんだよ」
早く帰ってきた理由をトーマスが説明していると、エマが余計なことを言うなと怒ってきた。
2人が焼いていたクッキーでご機嫌を取り、トーマスは会見後に来た依頼について話す。
「と、言うことなんだ。急ですまないが、時差を考慮すると明日には出発しなければならない。......正直今までとは違い、危険な依頼だ。チームなんだから付き合うとかじゃなく、自分の意見を尊重してくれて構わない」
正直協力してくれと言いたいが、内容が内容なだけに、そうハッキリとは頼みにくい。
だが、そんな心配は無用だったと思いしらされることになる。
「勿論行くに決まってるじゃない。いつもダンジョンではエミーが頑張ってくれてるんだから、こういう時ぐらい力にならせてよ」
「もうトーマスちゃんったら、こんな大事な依頼を私が命惜しさに断るって思ってたの?私の皆への愛は本物よ」
初めから分かっていたのかもしれない。
この2人がNOと言うことなどあり得ないと。
だがいざ信頼を確かめる瞬間になると、トーマスはどうしても確信が持てなかった。
信じきれていなかったのは自分の方だったと思い知ったトーマスは2人に感謝の言葉を述べた。
「2人とも...ありがとう」
「心配しなくていい。皆は死なせないから」
世界最強にそう言われると安心感が違うと感じた3人。
友情を再確認できたところで、トーマスは全員参加すると政府へ連絡するのだった。
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