インドダンジョン
ダンジョン爆発とは
ダンジョンは成長する。
鑑定スキルを持った者がダンジョンの出入口の穴に鑑定を行うと、そのダンジョンが何階層まで存在するかを知ることが出来る。
流石に階層毎のモンスターの強さまでは分からない上に、階層が深いほど、鑑定に必要な魔力や熟練度が増えるが、問題はそこではない。
どれくらいの魔力を消費すれば、どれくらいの階層が存在する。
それさえ分かれば、鑑定が出来ない=それ以上の階層だということが分かるからだ。
問題とは...そう...
ダンジョンは爆発するのだ。
全てのダンジョンに当てはまるわけでは無いが、一部のダンジョンは成長、つまり階層が深くなる。
現在確認されているダンジョン爆発は一例。
カナダの首都で起こったものだ。
元々そのダンジョンは階層が深く、80階層まであった。
ダンジョンが成長すること自体は少し前から分かっていたことであり、そのダンジョンも定期的に鑑定をしていたのだが、ある日突然鑑定が出来なくなった。
至急その者より鑑定の熟練度が高い者を連れてきたが、90階層を越えた辺りで同じく鑑定が出来なくなってしまった。
しばらく月日が流れた頃、それは起こった。
突如穴が数十倍の大きさまで広がり、中から数えきれない程のモンスターが出てきたのだ。
穴の周辺にいた者達は老若男女問わず全員死亡。
モンスター達はダンジョンから半径10キロ圏内を占拠。
逆にいえばそれ以上の広さに侵攻してくることは無かった。
幸い首相は間一髪避難することに成功したが、首都を占拠されるという事態にカナダ政府は大打撃を受けた。
今は別の場所で臨時の首相官邸を設立し、なんとか国の機能は維持出来ているが、国家存続の危機に瀕していることは間違いない。
カナダは隣国のアメリカと共に連合軍を編成し、陸と空から砲弾や爆撃の集中砲火でモンスターを一掃する作戦を決行した。
しかしそれらはドーム状の見えない壁のようなものに阻まれ、攻撃の効果は全く見られなかった。
本来地上には出てこないモンスターが出てきたということは、地上で活動する為の何らかの条件を満たしてしまったと推測され、おそらく占拠された空間そのものがダンジョンと化してしまったのではないかという仮説が立てられた。
ダンジョンの壁が壊れないように、あのドーム状の見えない壁もそれと同じ様な性質を持っているのかもしれない。
オーバーフローとは違い、倒してもモンスターが復活し、未確認のモンスターがいることから未踏の階層のモンスターも出てくる。
夢の資源だと思っていた存在が牙を向き、さらにその地域をダンジョン化することで人を住めなくさせるこの現象は意思を持ったメルトダウンとも言われている。
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