第3話 自衛隊
ドローンによる調査は失敗。
穴へ侵入したと同時に操縦が一切出来なくなった為である。
その日の15時過ぎ。
各地の司令部で対策会議が行われる中、朝霞駐屯地、陸上総隊司令部では、この作戦の指揮官である東部方面総監の陸将。
朝霞駐屯地司令の陸将補。
防衛部長の1等陸佐の3人が千代田区に出現した謎の穴についての対策会議を行っていた。
「作戦開始時間を考慮すると、戦車は装軌式より装輪式にすべきですね」
「万が一敵性勢力が穴から出てきた場合を考え、対地と対空のヘリも現場周辺に待機させましょう」
「よし、では機動戦闘車6台24人を穴に派遣。遅れて同じく6台24人を穴内部に待機させ、周辺には対地、対空ヘリも2機ずつ待機させる」
16時前、出現した穴の前に自衛隊が駐留していた。
穴の前には機動戦闘車6台が停車している。
場所は東京都千代田区。
日本に出現した穴の中で一番厄介な場所と言ってもいいだろう。
何せ国会議事堂や首相官邸、皇居は目と鼻の先なのだから。
穴の周辺には仮設のテントが建てられており、付近では交通規制も行われている。
「崖田総理は戦後初となる防衛出動を自衛隊に命じ...」
どこから嗅ぎ付けたのか、マスコミも遠くのビルから中継をしている。
そんな中、今回の作戦で現場の隊長を務める、
「作戦を確認するぞ。我々の任務は15分後、ヒトロクマルマルより、ここ千代田区に出現した謎の穴の安全確保だ。
中に何があるのかは一切不明、ドローンによる撮影も中に入った途端通信が途絶えている。恐らく何らかの電波妨害を受けているのだろう。正直に言おう。あまりいい予感はしない」
最後の発言により、周囲に緊張が走るが、一国は話を続ける。
「しかし、だからこそ放置しておくわけにもいかない! 我々は自衛隊だ。この穴が何処かの敵性勢力の兵器である可能性がある以上、守る為の組織である我々が対処するのは当然のことだ! 特に俺のような名前の人間はな」
一国恒例のネタに周囲に少し笑いが起きる。
最後の発言で今度は逆に皆の緊張が程よく解けたことを確認した一国は、作成開始3分前になったことを確認すると、再び真剣な表情に戻る。
「いいか、中に万が一生命体が存在した場合は拘束し、攻撃は呼び掛けに応答せず敵対行動をとってきた場合のみ許可が出ている。
後続にも部隊を待機させるが、この部隊が動く時は、我々に何らかのトラブルが起きた場合だ。
尚、安全を確認し次第、調査班が突入する。
よって中では安全確保の任務を最優先する。
つまり、何か穴を解明する手がかりになるようなものが落ちていたとしても無闇に触るなということだ」
そして一国曹長は全員が化学兵器対策の防護マスクを着用していることを確認すると、自身も着用し、さらに放射能測定器を持ち、穴の中へと入る。
「作戦開始!!」
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