乱戦と称号

両手鎌を使って切る、鉄球を投げる、魔法を使う。


ゴブリン達は俺の攻撃を避ける事も出来ず、ただ一方的に切り刻まれ、撃ち抜かれ、爆散して消えていく。


それを俺は淡々と繰り返していた。


こうして繰り返していると俺も随分と強くなったものだ。


こいつらとステータス的にはほぼ同格と言っていいゴブリンジェネラルと戦った時は、苦戦したが何とか勝つことが出来た。


だが、今の俺ならゴブリンジェネラルと戦っても簡単に勝てるだろう。


それを今の現状が表している。


だが、前に戦ったゴブリンジェネラルは亜種だったはず。


だから今の俺なら普通のゴブリンジェネラルならもっと簡単に倒せるはず。


まあ、あくまで普通に戦えばの話だけどな。


今の状況だとゴブリンの進化種達の方が圧倒的多数だ。


俺は囲まれて袋叩きにならないように警戒しながら戦ってるからそんなに余裕がある訳じゃない。


一応魔法を使おうとしているアークメイジは優先的に潰してるが、それもギリギリ間に合っているという感じだしな。


それにしてもこんなに多いのか。


確かに【気配感知】でかなりの数の気配を察知していたが、まさかここまでの数がいるとは思わなかった。


まあ、レベルは進化したばかりだからか低い個体ばかりだからまだ良いけどな。


それでも結構きつい。


とりあえずゴブリン達を全滅させる為にもどんどん攻めよう。


そう思った瞬間だった。


「うおっ!?」


突然地面から炎が吹き出して壁になり俺の視界を遮る。


そして、それと炎の壁を突き抜けて同時に大量の火の玉が俺に向かって飛んでくる。


俺は咄嵯に両手鎌を回してガードする。


「どっせい!」


火の玉が止まったのを見計らって、思いっきり力を込めて炎の壁に両手鎌を振って斬撃を放つ。


すると、真っ二つになった炎が左右に割れていき、視界が再び開けてくる。


そこには杖を持ったゴブリンアークメイジと弓を構えたゴブリンスナイパーがいた。


警戒はしてたんだけどなぁ……


やっぱり戦闘になると優先的に対象に意識を向けるのは難しいか。


「【ウィンドカッター】!」


風の刃を俺はアークメイジとスナイパー達に向けて放つ。


だが、アークメイジ達は後ろに下がって回避し、スナイパーは持っていた弓矢で風の刃を打ち消す。


俺はその間にも接近していたゴブリンアーマーナイト達の攻撃を防いでいた。


そして、また魔法の詠唱を始めるアークメイジと弓を構えるスナイパー。


俺はそれを見た瞬間今度は鉄球をぶん投げる。


「「「「ギャッ!?」」」」


その鉄球が直撃して4体のゴブリンの進化種達を爆散させ、残りはそれぞれ1体になる。


しかし、アーマーゴブリンはそんな事お構い無しに突っ込んでくる。


「【ウインドアロー】!シッ!」


俺はすぐさま魔法を放ち、アーマーゴブリンを吹き飛ばす。


「【ファイアアロー】!」


さらに魔法を放って追撃するが、盾を使ってうまく逸らされてしまう。


……魔法って逸らせる物なんだなぁ……


アーマーゴブリンはそのままシールバッシュをかましてくる。


「ハァァァ……ハァッ!」


そのシールドバッシュを避けないで今度は真正面から両手鎌を横一文字に振り抜く。


「ガアアッ!?」


俺の攻撃が綺麗に決まり、アーマーゴブリン盾ごと上半身と下半身に真っ二つになる。


さてと……残りは……


アークメイジとスナイパーだけだが……


「ギィィイイッ!!」


とか思っていたらアークメイジがスナイパーに魔法を使った。


同士討ちか?


それともまたレベルアップのために?


そんな疑問が浮かんできたがすぐに俺のそんな予想は覆された。


「ゴブゥ……」


スナイパーは感嘆のような鳴き声を上げて弓を見ている。


そんなスナイパーの弓にはアークメイジが放った【火魔法】の火が灯っていた。


……あれは属性付与か?


確か、それぞれの属性の魔法のスキルレベル5になったら使えるスキルのはずだ。


正直、俺には必要なかったから存在を忘れてた。


「ゴブコブッ!?」


「ゴブゥ……ゴブゴブ」


「……ゴブッ!」


……なにやってんだあいつら。


アークメイジはその【火魔法】の属性付与で魔力を使い尽くしたのか、


その場に倒れて動かなくなる。


スナイパーはというと、俺の方を見てニヤリと笑った後、そのまま弓に矢を番えて俺に狙いを定めていた。

どうやら俺に攻撃するつもりらしい。


そして、さっきのやり取りは本当に何だったんだ。


多分会話をしてたんだろうけどスナイパーがアークメイジに叫んだかと思うと、アークメイジがスナイパーにグッドポーズをして倒れて、スナイパーが頷いてから覚悟を決めた表情をして俺に標準を合わせていた。


マジで意味がわからん。


まあ、とりあえず倒せば問題ないか。


「ゴブッ!」


スナイパーが炎を纏った矢を放つ。


するとその炎を纏った矢は俺に向かってくる。


更に火力が上がっているのか、矢が通った後の地面が溶けてるのが見える。


そのまま食らえばひとたまりもないだろう。


だが……


「【ウィンドカッター】」


俺は風で出来た刃を飛ばして炎の矢を相殺する。


「ゴブッ!?」


スナイパーは驚いたような声を上げるが、俺は気にせず駆け出す。


そして、俺が一気に距離を詰めると、スナイパーはまた慌てて炎を纏った矢を放つが、そんな物は当たらない。


「ゴブァッ!?」


俺はスナイパーの目の前まで来ると、両手鎌を振り下ろし、スナイパーの両腕を切り落とす。


「ゴギャァァァァッ!?」


悲鳴を上げながら逃げようとするスナイパーの背中に俺は容赦なく蹴りを入れる。


「ガッ!?」


スナイパーはそのまま吹っ飛び、壁に激突して真っ赤な花を壁に咲かせる。


そして、スナイパーは塵になって消えていった。


さてと、忘れずに……


スナイパーへの属性付与で魔力切れを起こしたのか気絶したアークメイジに近づき、首を跳ねる。


これで終わりだよな?


俺は辺りを見回すが、敵の姿はない。


終わったか。


『種族レベルが上がりました。ハイヒューマンLv.60になりました』

『スキルポイントを5獲得しました』

『種族レベルが上がりました。ハイヒューマンLv.61になりました』

『スキルポイントを5獲得しました』

『種族レベルが上がりました。ゴースト(亜種)Lv.57になりました』

『スキルポイントを5獲得しました』

『種族レベルが上がりました。ゴースト(亜種)Lv.58になりました』

『スキルポイントを5獲得しました』

『職業レベルが上がりました。処刑人Lv.52になりました』

『スキルポイントを5獲得しました』

『職業レベルが上がりました。処刑人Lv.53になりました』

『スキルポイントを5獲得しました』

『職業レベルが上がりました。魔導師Lv.52になりました』

『スキルポイントを5獲得しました』

『職業レベルが上がりました。魔導師Lv.53になりました』

『スキルポイントを5獲得しました』


「おーすごいすごい」


レベルアップが止まらん止まらん。


病院の中庭で【吸魂】を使った時みたいにレベルアップが止まらない。


やっぱりジェネラルクラスのモンスターが相手だと経験値の量が段違いだ。


これならすぐにでも進化できるんじゃないか?


「あ、そうだ。今の内に【吸魂】」


俺は【吸魂】を使って辺りに漂っている魂を【吸魂】していく。


そして、しばらく待つ。


『ゴブリンアーマーナイトの魂の吸収を確認しました……


すると、レベルアップの通知と一緒に【吸魂】の通知も聞こえてきた。


『……条件を満たしました。称号:無慈悲なる者、首狩り族の称号を取得しました』


称号?


どういうことだ?


てか取得した称号どっちも物騒すぎるだろ!


……まあいいや。


特に変わった感じはしないし、気にしても仕方がないな。


まあ、多分だけどマイナスの要素じゃないだろうし大丈夫だろう。


それにしても、なんかあっさりと終わっちゃったな。


もっと苦戦するかと思ってたんだけど……


まあ、簡単にレベルアップできたからよし!

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