昼休憩と下校
「ソラさん!お昼ご飯を一緒に食べましょう!」
時は昼休憩。
知力のステータスが上がり頭が良くなったとは言え気だるい授業の時間。
その時間をなんとか突破してついに待望の昼休憩。
エスカリアさんが来たのはいつも通り早希と陽介と一緒に弁当を食べようとしたそんな時だった。
しかし、いきなりの登場に俺は戸惑うばかりだ。
だが俺以外の早希や陽介、他のクラスメイトはエスカリアさんの登場に固まっている。
「えっと………エスカリアさん?」
「はい!エスカリアですよ。ソラさん」
「……どうしてここに?」
「それはもちろんソラさんとお昼を共にするためですよ」
「え?あ、うんえっと………エスカリアさん、なんでここにいるの?」
なんでエスカリアさんがここにいるのかが全く見当がつかない。
「その事なんですが………私と昼食をともにしてくださいませんか?」
「え、えーと………エスカリアさん。クラスメイトの人達は?一緒に食べないの?」
あと、こっちまで来るのが早くない?
ここ高等部校舎で中等部校舎じゃないんだけど?
「もちろん皆さんと食べるつもりです」
「じゃあここに居ちゃダメじゃんなんで俺まで誘いに来たの?」
「いえ、ソラさんも一緒がいいと思いまして」
「えっと………今日はクラスメイトと親交を深めてくれば?これから少なくとも1年はこれから同じクラスなんだしさ」
「………そうですか………わかりました。ソラさんがそこまで言うなら私は引き下がります。ではまた放課後にでも」
「おう。それじゃあな」
そう言って去って行くエスカリアさんは去っていった。そして静寂が訪れる。
え?何この空気?なんか俺悪いことした?
まあ、とりあえずさっきから無言の2人に話しかけるか。
そうして俺は早希と陽介の方を見る。
2人は何故か頬を膨らませていた。
早希は半目になってジト目で、陽介は睨み付けるような目で、それぞれ違いはあれど俺の方を見ている。
「な、なんだよ」
すると、先に口を開いたのは陽介だった。
「空ぁ〜?なにあの子?めちゃくちゃ可愛いけど………それにずいぶん仲が良さそうだな~………もしかして狙ってるのか?」
「………はぁ?」
何を言っているんだこいつは。
確かに容姿は美少女と言って差し支えないが、だからといって別に狙っている訳では無いのだが………
てか、なんでそんなに睨んでんだ?
「まあまあ陽介、落ち着いて。それで?空はどこであの子と知り合ったのかな?」
「別にただの友達なんだけど………」
「嘘つくなよ。どう見てもただの友達じゃねぇだろ?なに?ナンパしたの?告白したの?まさか付き合ってるとか言わねーだろうな!?︎答えろー!!!」
いやいや、落ち着けって………なんなのこいつ?
情緒不安定か何かなのか?
あと、顔近い。怖い。目が血走ってるし。
………ここは誤魔化すのが吉と見た
「いや、ほんとに知らないんだけ「そうでしたソラさん。今日は校門でお待ちしておりますね」………」
「あ、おい!ちょっと!?エスカリアさん!?」
そう言い残して去っていったはずのエスカリアさんが現れてまた消えていく。
………なんでおるん?
「あー!!もう!やっぱりそうじゃん!なんであんな美少女と知り合いなわけ!?あの子リボンの色からして中等部の3年生だろ!?しかも結構仲良いだろお前!お待ちしてるってなんだ!答えろー!!!」
うるさいぞ陽介。
耳元で叫ぶんじゃないよ。
鼓膜破れたらどうしてくれんの?
………あれ?音が聞こえにくいな?
………まあ、冗談はその辺にしておこう。
「はいはい。わかったからとりあえず離れようぜ?周りの視線が痛いし」
チラッと周りを見るとクラスの皆様方が俺達を見てヒソヒソと話している。
特に男子生徒からは殺意にも似た眼光を向けられている。
ちなみに一番鋭いのは隣にいる陽介である。
………てか早希がなにも言ってこないのが怖い………
俺………殺されるかも………
***
結局その後、俺は陽介に問い詰められて昼休憩の間ずっと質問攻めにされた。
おかげで昼飯は食いっぱぐれた。
腹減ったあいつマジで許さん。
そして早希は結局なにも言うことなくジト目になりながら俺を見ていた。
………なぜだ? 本当に?
そしてそんな昼休憩を乗り越えて現在は放課後。
俺はいつものように教室を出て校門に向かう。
………いや、嫉妬に狂った男子高校生諸君が俺が帰るのを妨害しようとしていたのでステータスをフルで使って撒かせてもらった。
「ソラさん。待っていました」
俺が校門前に着くとそこには既にエスカリアさんがいた。
「………エスカリアさん?本当に待っててくれたんだ?」
「はい。それでは帰りましょうか」
「あ、うん」
「それでは「空~一緒に帰ろう」」
「うおっ!さ、早希!?」
いきなり後ろから来た早希に背中に飛び乗られ首に腕を回される。
………重い。
ステータスが上がったからそこまで重く感じないけどそれでも重く感じる。
「早希、おも………ぐぇっ!」
早希に首を絞められる。
「空?今女の子になんて言おうとしたのかな~?」
「ご、ごめんなさい。めちゃくちゃ軽いっす。まるで羽みたいな軽さだよ」
「わかればよろしい」
そう言って早希は俺の首を絞めてる腕を緩めて俺の背中から降りる。
そっかー只首を絞めるだけだもんな。
痛くなかったから首が絞められるとか防御のステータスが高いのが効果あるんだろうけど呼吸には意味ないのか………
「あ、エスカリアさんだっけ?ごめんね。私は天海早希って言うんだ。仲良くしてくれると嬉しいな」
「………えっと………私はエスカリア・オースターです。よろしくお願いします」
「うん。よろしくね。それでさ、これから空と一緒に帰ってもいいよね?」
「もちろん構いませんよ。私も一緒でもよろしければ是非」
「やった!じゃあ早く帰ろ!」
そう言って早希はエスカリアさんの手を掴んで歩いていく。
「えっ、ま、待ってください!引っ張らないで……」
そんな2人の後を俺はため息を吐きながら追いかけていったのだった。
………エスカリアさんが助けを求めるような目をこっちに向けるけど俺にはなにも出来ない。
ホントにすまない。
まあ、そんな強引な所も早希ってことで諦めてくれ………
***
「それでね!その時にね!空ったらね!」
「ふふっ。そうなんですか」
「そうそう!しかもその後にさ空ったらさ………」
現在、俺達は家に向かって歩いている途中なのだが……… 2人は意気投合したらしくとても楽しそうに話している。
だがしかし、俺は会話に入ることが出来ない。
正直な事を言うと止めたい。
俺の事を暴露されてるけどあんなに楽しそうに話してるんだから止められない。
………止まってくれないかな………はぁっ………
そんな時だった。
………おかしい。
嫌な予感がした。
ダンジョン、『ゴブリンキングの巣』を潰してから一切感じなかった嫌な予感。
だけどそれはすぐに確信に変わった。
この感覚は覚えがある。
俺は直ぐに【気配感知】を使う。
すると感じるはずのない、居るはずのない存在の気配が感じられる。
………これは………いや、でも………
………確認するしかないか………
気配が感じられる場所は今居る場所の近くだ。
その気配の存在の近くにはそいつ以外の気配は感じられないがこれは確認しないわけにはいかない。
「………早希、エスカリアさんちょっと先に帰っててくれないかな?」
俺は立ち止まり気配を感じる方向から目を離さないようにしながら言う。
「え?急にどうしたの?何かあったの?」
「いや、ただ少し気になることがあるだけなんだ。だから先に帰っていてくれ」
「………わかりました。それでは先に帰らせていただきます」
「えっちょっ待って………」
エスカリアさんは直ぐになにかを察してくれたのか早希を連れて歩き出す。
そして俺はその気配が感じられる方向に走り出すのだった。
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