お勉強と編入試験と友人
ここ数日、習得したのは主にハッキングとクラッカー、動画編集などの技術。
後はスキルを習得して隠密行動も出来るようにした。
そしてついに今日、2人は戸籍を手に入れた!
まあ、正確には俺の作った偽造の書類とエスカリアさんとアーニャさんのサインで作り上げたんだけどね。
後は戸籍を管理している場所に不法しん………ゴホンッゴホンッグエッホン。
………失礼。
そこでエスカリアさんとアーニャさんの過去を作り、それを元にして2人の戸籍を作ったのだ。
勿論調べられても大丈夫なように戸籍は作ったぞ。
監視カメラの映像にもちょくちょく編集してきたからまあ、大丈夫だろ。
そのお陰で2人は晴て日本の住民になり、堂々と日本で暮らせるようになる。
………前に雪奈ちゃんと玲奈ちゃんに2人の事を説明したのとは少し違うけど…………でも、もう後戻りは出来ない。
もう戸籍作っちゃったんだからさ。
「よし、じゃあエスカリアさんは早速学校に行くために勉強しようか!」
「えっと、勉強ですか?」
「うん。エスカリアさんは元々頭が良いからすぐに覚えられるはずだよ。流石に編入試験は偽装出来ないから受けてもらうしかないんだよね」
「そうなんですね。わかりました。それで、何をするのですか?」
「うーん、そこなんだよなぁ………」
エスカリアさんは元々こっちの世界の住人じゃないんだから当然国語、歴史、地理、物理、科学、数学、英語などは全く知らない。
だけど一応国語、英語は【言語理解】の指輪があるから文法さえ知っていればある程度は理解出来るはず。
だから国語に関しては教科書を読めば問題はない。
問題はそれ以外の教科だ。
多分小学校レベルから教えなきゃダメだろう。
さて、どうしたものかな………
まあ、教えるしかないか。
「じゃあやっていこうかエスカリアさん」
「はい!」
「とりあえずやることが多いからどんどんやっていくよ」
「わかりましたわ」
よし、やるぞー!
≪国語≫
「だから、この人はこういう気持ちだったんだよ。だから、この時の主人公の心情は………」
「なるほど。確かにそういう気持ちになるのも分かりますわね」
「うん、そうだよね」
国語の授業は順調だ。
やはり元第一王女人の心情などは読み取るのは得意らしい。
うんうん。
良いことだ。
≪数学≫
「ここの方式が……」
「あ、これってこう言う風に解くんでしたっけ?」
「そうだよ。よく思い出せたね」
「はい。結構簡単ですわね」
数学は大丈夫っぽいね。
………おかしいなぁ算数から始めたはずなのに今の俺と同じ所まで………いや、辞めておこう。
誰も幸せにならない。
≪物理・科学≫
「ここがこうなって……」
「あっ、これはさっきやったところですね!」
「うん、正解」
「ふふんっ」
理系は割と余裕そう?
理系はまあ、楽しいしね。
覚えやすいのかな?
≪英語≫
「この単語はどういう意味なんでしょうか?」
「それはね……」
「ありがとうございます!……こんな感じでしょうか?合っていますか?」
「うん、バッチリだよ。流石だね」
「えへへっ」
意外と英語が出来た。
まあ、そりゃ【言語理解】の指輪嵌めてるんだから当たり前か。
それにそもそも単語の意味がわからないだけでそれを教えたらわからないところがなくなる。
しかし本当に優秀な子だなぁ。
教えたことはすぐに吸収する。
そして飲み込みも早い。
………ステータスが上がる前の俺より頭よくない?
≪歴史・地理≫
「ふむ………これが私達の住んでいるニホンですか………」
「うん。そしてここが東京。日本の首都で人が多い場所なんだ」
「凄いですね。………人口が多いですね」
「まあ、ここは特別多い方だと思うけどね。他の国に比べたら全然少ないよ」
「そうなんですか?でもやっぱり多すぎませんか?」
「まあ、世界人口は大体78億人だからねそれに比べたら少ないでしょ?」
「………ええ。そうですね」
エスカリアさんは俺の説明を聞いて納得してくれたようだ。
まあ、実際そんなもんなんだけどね。………地球の人口は70億人以上いるからまだまだ増え続けると思う。
そのうち80億人超えちゃうかもな。
でもまあ、今は関係ない話か………
***
「これで授業は終わり。どうだった?」
「とても楽しかったです。色々学ぶことが出来ました」
エスカリアさんはとても嬉しそうだ。
実際エスカリアさんはここ数日めちゃくちゃ頑張ってた。
………具体的には俺より遥かに勉強してた。
だってエスカリアさん、俺の何倍も記憶力あるんだもの!
教えてもいないことをすぐに覚えちゃう。
だからエスカリアさんは教科書を読みながら自分で問題を解いて覚えていった。
そしてそれをテスト形式で答えてたんだけど………
全問正解ってマジ?
エスカリアさんマジパネェっす。
これなら今日の編入試験も大丈夫だろう。
「それじゃあ早速行ってみようか」
「はい!」
エスカリアさんと俺は事務室を経由して職員室に向かう。
エスカリアさんとはここで一旦お別れだ。
エスカリアさんは少し緊張してるっぽいけど大丈夫かな?
「では、私はこちらなので」
「うん、頑張れよ」
「はい!カミヤマのお陰でここまで来れたのです。必ず合格します!」
「おう、応援しているぞ」
「はいっ!」
エスカリアさんの笑顔は眩しい。
………少し緊張がほぐれたかな。
「よし、じゃあ行ってらっしゃい」
「はい!」
エスカリアさんに手を振って見送る。
エスカリアさんの姿が見えなくなったところで俺はとりあえず校舎の外に出ることにした。
校舎の外に出るとグラウンドで部活動で運動をしている人達が見える。
皆汗を流しながらも真剣な表情だ。俺には縁のない話だが、こういうのを見ると青春って感じがする。
なんかいいよね。
………おっ、野球部がバッティング練習をやっている。
バットを振るたびにボールが高く飛んでいく。
おおっ、かなり大きいのをを打ったぞ。
あれはホームランになるのかな?
あっちの方はサッカーか。
ゴールに向けてシュートを打った。
ああいうスポーツは嫌いじゃないなぁ。
「おい!危ねぇぞ!避けろ!」
ん?
なんだ?
声が聞こえたのでそちらを振り向く。
そこにはすごい勢いで迫ってくるサッカーボールが………はい!?
︎ やばいやばやばやばやばやばやばやばやばやばやばやばやばやば!!
俺は慌ててその場から飛び退く。
そして同時にサッカーボールを反射的に蹴り飛ばす。
蹴った瞬間にパァンッ!!と乾いた音が響き渡る。
そのままサッカーボールは一直線に飛び、その先に居た男の顔面に直撃した。
男は吹っ飛ばされて鼻血を出しながら地面に倒れ込む。
………あっ………
「「「よ、陽介ー!!!?」」」
…………あーうん。
やっちゃった☆
「君、なにやってのー!?」
「いや、その………うん。ごめんなさい」
倒れていた男が立ち上がって俺に向かってくる。
「いきなりなにしてんだよ!?空!?」
「い、いやその……つい」
「つい、で済む問題じゃねーだろ!?これ!」
「いや陽介、ほんとにごめん」
「ごめんで済んだら警察はいらねえよ!」
***
現在俺はサッカー部員達に囲われて尋問されている。
まあ、無理もないけどさ。
しかしなんでこうなった?
確かにあの時、俺はサッカーのボールを蹴り飛ばした。
だけどそれはあくまで偶然で、別に狙っていたわけでもない。
だからこれは完全に事故だそれにそもそもボールが飛んできたのが悪いんじゃね?
「………まあ、俺達に怪我人は出なかったからよかったけどさ」
「ああ。ボールを受けたのが陽介で良かった」
「まあ、ボールを彼に向けて蹴った陽介が悪い。自業自得だな」
「お前らさっきから酷すぎねぇ!?少しは心配しろよ!」
「あはは………」
俺達は笑っていたが、当の本人は笑えないようだ。
俺のせいでこんな騒ぎになってしまったのだから申し訳ない気持ちになる。
さっきからこの責められているようだが被疑者であり被害者でもある茶髪の男は
一応一年生の頃からサッカー部のレギュラーになっている期待の時期エースらしい。
ただ、こいつはそんな肩書きとは裏腹に中身はただのバカ野郎だ。
ちょっとしたことですぐにテンパるし、赤点は直ぐに取るし。女にも弱い。
もう1人の幼馴染み以外の女に弱くてマジでチョロいからいつか悪い女に騙されるんじゃね?って心配になる。
まあ、そういうところが面白い奴だとは思うけど。
「とりあえず陽介も無事だったんだしこの件はこれくらいにしといてやろうぜ?」
「そうだな。これ以上騒ぐと先生が来るかもしれん」
「ちぇっ。つまんねえな」
「もうちょっと陽介を苛めたかった………」
「おいっ!それはどういう意味だ!?」
「まあまあ、落ち着けよ」
「そうだぞ。まあ、陽介も反省してるみたいだし許してやってくれや」
「まあ、俺も悪かったんで」
「許してくれるか。そうか、ありがとう。それじゃあ、全員練習再開しろ。陽介は罰としてグラウンド10周な」
「「「「「ウースッ!」」」」」
「あんたらは鬼か!!」
サッカー部員達との会話で場が和む。
この会話を聞いてるだけで面白くなってくる。
多分指示を出してた人が部長かな?
「冗談だ。少し休んでおけあんなに勢いが強かったんだ一応しっかり休んでおけ」
「ウッス」
「それと空君と言ったかな?」
「え!?あ、はい」
「あのキックは実に素晴らしかった。サッカー部に興味があったらぜひ見学に来てくれ」
「えっ!あ、機会があれば」
「そうか。まあ、無理は言わないよ。練習に戻るぞ!」
「「「ウッス!」」」
部員達が返事をしてグラウンドに戻っていく。
残されたのはベンチに座った俺と陽介だけだ。
………さて、どうしよう。
とりあえず謝っておくべきだろうか?
「それにしても空、お前無事だったのか?」
「へ?なにが?」
「とぼけるなバカ。お前事故で入院したって聞いてたぞ。だから見舞いにもあいつと行ったのにお前いなかったし、どう言うことだよ。あいつもブチキレてたぜ」
「………後で連絡しとくわ」
「ああ、そうしてくれ。それで?なんで事故ったんだよ」
「いや、ちょっと車に引かれそうだった女の子助けたら代わりに引かれちゃって………」
俺の言葉に陽介は呆れたような顔をする。
いやまあ、言いたいことは分かるけどね。
でも仕方ないじゃん。だって女の子が車に轢かれそうなんだよ?そりゃ助けますわ。
まあ、その後結局俺が引かれてしまったわけだが。
「………まあ、うん。そういうことだから気にしないでくれ」
「別に気にはしねーよ。俺もお前に助けられたことあるしな」
「毎回テストとか、課題な」
「うっせえよ!………まあ、納得だ」
そう言って陽介は立ち上がる。
「もう行くのか?」
「ああ、そろそろ休憩時間も終わるからな。じゃあ、また明日な」
「おう、またな」
手を振って別れる。
そして俺はさっきまでいたベンチに戻り腰を下ろす。
………ふぅ、なんとか誤魔化せたか。
まさか事故にあったことがバレているとは思わなかった。
まあ、それもそうか。
俺が事故ったことならクラスだったら何で休んでるかぐらいは説明されるか。
………さて、そのせいもあってあいつに連絡しなきゃなんだけど………やだなぁ………怖いなぁ………
おまけ
「そう言えば陽介俺が休んでる間課題はどうしてたんだ?」
「………」
「………陽介?」
「チャントヤッテルヨ………」
「………」
「ホントダヨ?」
「ダウト。お前マジでちゃんとやれよ?」
「………ウッス………」
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