16 勇者の才能はすげぇ

訓練1日目は感覚を掴むようなものだった。


「今日は昨日の続きかな。ピリポさんはかなり感覚を掴めてたので、あとはちょっと頑張るだけでいいと思います。」


「分かりました。」



〜〜〜〜〜



「と、とんでもねぇ。さすが勇者だ」


 どんなに早くても1週間かかるだろうと思っていたのに。まず、俺は2週間かかったにこんなに早いと泣けるわ。


「どうしました?」


「いや、勇者のピリポさんなら俺のやって来たこと全て簡単に越えられそうだなと思っただけです。」


「そんなことないと思いますけど。例えば、適正外の魔法を使うこととか。」


「あー、確かに。あれは鑑定のスキルがあるからできるけど、勇者はそういう訳じゃないからできないのか。俺もあれは教え方分からないし。」


「そうですよね。あれが出来てたら私、どれだけ強くなっていたんでしょう。」


「まあ、軽々私を超えてたでしょうね。」


「確かにそうですね。」


「次のことをやってもいいでしょうか。」


「ええ、いいですよ。」


「とりあえず、〈風球〉を使うのですが、通常より魔力を多めに出して使ってみてください。その時に魔力を無駄にしなければ、魔法が強くなっている筈です。」


「それって簡単に出来ますか。」


「どうでしょう。勇者のセンスがあればできると思うんですが。」


「分かりました。やってみます。」


「おお、できてるよ。」


「えっ、本当ですか。」


「そうだよ。ちょっと待って。土魔法で的を作るから。」

「じゃあ、あれを狙ってみて。」


「分かりました。」


 えっ。的が壊れるほどの威力だったの。


「すごいですね。あんなに大きな的も壊れちゃうなんて。」


「う、うん。」


 こんな筈じゃなかったんだけどな。本当は普通の〈風球〉と比べて欲しかったんだけどな。


「もっと強くなったら、どうなるんですか。」


「うーん。さっきのであれだからな。分からん。でも、俺より強くなれると思うよ。」


「そうなんですか。」


「ええ。」



ーーー???視点ーーー


「やっぱ舐めてんな。もっとしっかりと鍛え上げれば良いものをノロノロとやりよって。」

「しかし、干渉することは良くないからな。」


 そう、俺が干渉するだけで問題になるんだ。


「また見てるんですか。そんなのを評価していたって何も変わらないんですから。」


「そうだな。そういやさすがにあんな奴らはいないよな。」


「もちろん。このような世界について限りなく調べたので大丈夫だと。」


「はー。ようやく厄介ごとがなくなったのか。」


「ええ。わたしたちからしてみればずっと厄介な奴らでしたから。」


「そうだな。お前らを呼ぶ前からああゆう奴らから厄介ごとに巻き込まれてたしな。」

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