第161話 エピローグ ~人魔同盟学校を作ろう~

161.エピローグ ~人魔同盟学校を作ろう~





「はあああああああああああああああああ!? 人魔同盟学校を作るだあああああぁああ!?!??!」


ビビアのけたたましい声が響いた。


だが、そんな素っ頓狂な声を上げたのは彼だけで、賢者パーティーの面々は欣喜雀躍とした様子で、


「確かに、邪神を討伐した今、人と魔族が戦う理由はありません。ですが、いきなり戦争をやめて仲良く、とはいかないのが人情でしょう。……その礎となる人材を育てる。そのための人魔同盟学校。とても素晴らしいことだと思います。アー君は教師としてはちょっと抜けてますが、適任だと思います」


アリシアが肯定してくれた。ちなみにちょっと抜けているという点については、一切身に覚えがないのだが、反論すると10倍返しになりそうなので黙っておく。


「わしもそう思うのじゃ! ちなみに、わしは武術を教えたりしたいのじゃ! わしのブレスに120秒耐えたら免許皆伝なのじゃ!」


「あてぃしも武術担当したいのじゃ! でもどちらかと言うとロジスティクスのほうを教えてやるのじゃ」


「では我は歴史の教師でもしようかの。本来は星の女神イシスあたりが適任かもしれぬが……」


「さすがに今回無茶しすぎましたので、星のマナが枯渇したり天変地異が頻発して良いのでしたら頑張りますが、そうでないのでしたらば、ちょっと休憩をさせてください! ええ、ほんの50年ほどで結構ですので!」


スケールがでかい。


「では、わたしことブリギッテは、地味にローレライさんと一緒に回復魔術の先生でもしましょうかね。いかがですか?」


「光栄です、ブリギッテ様。あと、保険室の先生としてちょっぴりセクシー路線を目指したりするのも良さそうですね。生徒たちのドギマギする様子を楽しめますので」


「ローレライの学校観は後で矯正するとして、回復術士の養成も必要だしいいんじゃないか? あと、アリシアは言語と算術が得意だったと思うから、そちらも頼もうかな。ラッカライには槍術を教えてもらうのと、実は隠れお嬢様だから家庭科も得意だったな。それも担当してもらえるか?」


「楽しそうですね。なんか生徒たちが混乱しそうだけど」


ラッカライが苦笑した。


ふむ。こうやって話しているだけで、どんどん担当者が決まっていく。


賢者パーティーは実に豊富な人材で構成されていたのだなぁとつくづく思うのだった。


「まぁ、それにな」


俺は自信満々に、微笑みながら言う。


「人を育てるのは俺の得意とするところだ。まだまだ成長途上とはいえ、すでに勇者パーティーという世界を救った一団を世に排出したわけだしな」


俺は胸を張って言う。それだけは確かな実績なのだと。


しかし、


「てめえになんか、なんも教わってねえよボケエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!」


「アー君! この際だからハッキリ言っておきますが、その認識は誤りです! 全然成長してませんよ! この人たちは!!!!!」


「あ、あれ~?」


唯一自信満々に言い放った言葉だったのだが、否定とクレームの嵐。あとは嘆息だけが俺の耳朶をうったのだった。


おっかしいなぁ。


俺は大いに首を傾げる。


それと同時に、そこにいた全員が同時に大きく嘆息した。


『やれやれ、本当に学校経営なんてして大丈夫なのかしら?」


なんだかそんな無言の圧力を受ける。


ともかく、俺はそんな不安感を大いに醸成しつつも、オールティの町での人魔同盟学校の設立、そして運営計画は練られていったのだった。


そしてそれは、俺が邪神や星の女神という外部からの影響とは何ら一切関係なく、単純に俺がやりたいからやる、そんな昔からの夢を叶える重要な第一歩なのだった。

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