第157話 ラストバトル その1 ~真・勇者パーティー戦(大賢者アリアケ、大聖女アリシア復帰)~

157.ラストバトル その1 ~真・勇者パーティー戦(大賢者アリアケ、大聖女アリシア復帰)~





「んぎょえええええええええええええええええ?⁉⁉? そんなの無理にあべばばばばばばばばばっば!?!?!??!!」


勇者ビビアがなぜか、人語を超越した大声を突如出した。


やれやれ。俺は苦笑すると、


「待て待て、慌てるなビビア」


「あびあびあびあびあびあばいばいびあびあびいいいいいい!!??! ……あ?」


俺の声に正気に戻ったように、目の焦点を合わせて俺の方を見た。


「この賢者アリアケ。巣立ったお前たちには余計な世話かもしれんが、さすがに星の命運をかけた戦いだ。手を貸そう」


「そ、そ、そ、そ、そ、そ、それって、もしかしててめえ!?」


「勇者パーティーへ復帰する」


「は、はぁ!?!??! そ、そんなことこの俺がゆるっ……!!!!」


ビビアが何か言おうとするが、


「おっと手がすべりましたわ!?!?!?!」


「そのお口つぐんでろおらぁ!!!」


「沈黙は金! 男は黙って首を縦に振っていればよいのだ!!!」


「ふんぎいいいいい!??! ふぎいらぁあああああ!??!?!」


とっさに、デリアの手が勇者の顔面に直撃すると、プララが彼を後ろから羽交い絞めにし、エルガーが頭をもって縦に何十回も振っていた。


「よく分からんが、歓迎されているようだな」


「もちろんですわ!」


「アリアケがいないと始まんないよ!」


「ああ、共に世界を救おうではないか!」


「ふっ、どこまで言っても頼りない弟子たちだ」


だが、そこがまた親しみやすい点でもある。なぜかその言葉にビキビキと彼らの笑顔がひきつったように見えたのは気のせいであろう。


そして、


「では、アリアケさんが復帰するのでしたら、この私も復帰ということで、宜しいですね?」


そう言ったのは、


「んごんごんご!?!?!?」


「ア、アリシアまで復帰してくれるっての?!!!!」


「まじ!? これまじ!? やったじゃん!!!」


「棚ぼただな! うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」


結界魔術に、人類唯一の蘇生魔術を使える、現代の奇跡の体現者、アリシアの復帰に更に勇者パーティーが色めき立つ。


「やれやれ、アリシア、君まで無理に復帰することはないんだが」


「なーに、言ってるんですか、アー君」


アリシアは呆れ顔で、


「困難は夫婦で解決する。これは事前に取り決めたことでしょう?」


「やれやれ」


俺は嘆息する。


そして、俺が勇者パーティーを追放されてからの日々を思った。


彼女のいることの何と頼りがいのあることか。


「君が俺を追いかけてきてもらって良かった」


そう言ってほほ笑む。


「頼りにしている」


すると、アリシアは顔を満面の笑みにかえて、


「はい! お任せください! アー君!!! さあ、さっさと片づけて新婚ほやほや生活をエンジョイしましょう!!!」


その声と共にかどうか分からないが、


「では行こう勇者ビビア。久しぶりの真・勇者パーティー戦だ。戦い方は覚えているか?」


俺の言葉に、


「俺に命令すんじゃねえ!」


罵声の言葉を返す。


と同時に、


「この俺に任せときゃいいんだよ! てめえは黙って、この俺のサポートしてりゃいい!!!」


そう威勢の良い声を出した。


先ほどまでの怯えていた奴とは別人のようだ。


やれやれ。


「その通りだ。問題なさそうだな。≪全体化≫」


俺はそう言いつつ、


「≪神殺し≫付与」


「≪魔神の血脈魔力量大アップ≫付与」


「≪護国の盾イージス≫付与」


「≪クリティカル威力アップ≫付与」


それから、


「≪神聖フィールド≫展開」


これは味方メンバーに神がいる時にだけ発動する使い時がほぼない珍しいスキルだ。全ステータスを3倍に引き上げ、自身の属性攻撃を3倍に引き上げる。


なお、相手のステータス低下スキルは効かないので後回しだ。


さて、


「アリシア!」


俺の言葉に、


「勇者パーティー全体へ≪救済の大結界全属性攻撃無敵≫発動」


「同、≪人類最終体力防衛結界ライン自動回復≫発動」


「同、≪天使の守護幸運上昇≫を発動」


よし。


「行け、お前たち!!」


「るせえ! だから命令すんじゃねえ!! おら、デリア!! 俺の後ろから、バーッとつっこめ! あとプララとエルガーは後から適当にあわせやがれ」


「「「おう!!!」」」


真・勇者パーティーの戦いは、こうして開戦の火蓋が切って落とされたのであった。

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