女スナイパーは派遣社員!シーズン・ゼロ ~すべてはここから始まった~
夕哉圭シロー
第1話 品川から来た男。
普段の朝だった。
東京メトロ 市ヶ谷駅から会社に向かう途中の富士そばで、朝ごはんの月見そばを頼んでいると、いつものようにシロー先輩が遅れて合流した。
いつもは、きつねうどんを頼むのにこの日は『肉富士うどん』を頼んだ。
「先輩、朝から濃いですね。どうしたんですか。」
「いや、今日から赴任される新しいシニアマネージャーやけど、品川(ソニー本社)から来るらしいねん。」
「へえー、そうなんですか。」
「品川に同期の奴がおるから聞いてみてん。そしたらな、もともとEPS(電化製品)の生産技術出身でウォークマンの開発してた人みたいやねんなあ。だがら年齢も70歳超えてるらしいわ。」
「ほんとのシニアですやん。」
「かなりの熱血漢みたいやから、負けてられへんやろ、だから気合い入れる為の
『肉富士うどん』や、分かったか。」
朝礼時に、事業部長から今回赴任されたシニアマネージャーの星野さんとその秘書の小沢さんと紹介された。続いて星野さんが挨拶をした。
「初めまして、星野です。」
「声、ちっちゃ。」
「シー。静かにしとけ。」
「みなさんには、事前にお願いしていたことについて午後に打合せしたいと思いますので細かいことはその時にお話します。」と星野は弱々しく告げた後、秘書の小沢さんと一緒に部屋から出て行った。
「先輩、よぼよぼですやん、どこが熱血漢なんすか。でも秘書の小沢さん女優の北川景子みたいで綺麗ですね。」
「確かに、熱血漢って感じじゃなかったな。また、同期に聞いとくわ。」
「それより、課題事項完了してる?」
「monogataryのここ3日間のお題に投稿している作品を全部読んで、上位と下位3名のユーザーさんを選ぶやつでしょう。もうちょっとで終わりますよ。」
「早よやっとけよ。集計あるから10時までには完了させてや。」
「わかりました。」
二人はそれぞれの作業に移った。
・・・・・・・・・・
会議室には、5分前に入ったがほとんどのメンバーが席についていた。
シロー先輩の横が空いていたのでそこに座った。すると先輩がおもむろに話しかけてきた。
「あれから、また品川の同期に詳しく聞いてみたんやけど、滅茶苦茶すごい人やねん。」
「星野さんのことですか?」
「もちろんや。なんでもカセットのオートリバースを発明した人やねん。」
「オートリバースってなんですか?」
「そうか、わからん世代か。ウォークマンとかラジカセとかはわかるやろ。」
「それ位はわかりますよ。」
「カセットってレコードみたいにA面とB面があってな、A面を聞き終わったらカセットを一回取り出してひっくり返してB面側にセットしてから聴いてたんや。
オートリバースは、テープを読み取るヘッドが自動的に反転して連続で聞ける機能やねん。これは無茶苦茶画期的なことで、当時はこの機能が付いてるラジカセはカセットプレーヤーがバカ売れしたんや。」
「そうなんですか、オートリバースの便利さはいまいち分からないっすけど、何かすごいことはわかります。」
その時に、会議に星野シニアマネージャーと秘書の小沢さんが入ってきた。
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