第3話 淳弥を排除

茉穂の事が知りたい

彼女も昔の記憶を思い出して俺に気づいて俺の前に姿を現したのか?


ドキドキドキドキ


俺は変装して企画課まで行く白髪混じりの老紳士、大河が引いきの美容室から美容師を出張させて来た。

次いでに大河も得意先の部長と言う設定で!



俺達は茉穂を見つけロックオン


茉穂は満面の笑顔で俺たちに

お茶を出してきた。


「あ、ありがとう。」

俺は再会した変な嬉しさが込み上げて来る。


「ごゆっくりニッコリ」


余計な話もせずソソクサと仕事に戻りクルクルと働いていた。


歳下からも慕われそして

「茉穂ちゃんおはよう。」


「あ、おはようございます。」


年配の清掃部のオバチャン達にも慕われ観察すればするほど茉穂には好感しかない。



「そうだったなー。

茉穂は休みの日には年寄りの相手をし子供達にも長屋の住人にも慕われていた。」


俺がポッンと呟くと横にいた大河にダダ漏れらしく


「泰真の言っている夢が

本当にあった前世の記憶だとして

お前はどうしたいの?」


少しお茶目なハゲ頭でチョビ髭の大河はカトちゃんペな顔を向けてくる


「プププ」


大河がふざけてグルグルメガネを顔から離したり、近付けたりしながら俺に呟く。

昭和のコントかよ。

脚を開いて膝に手を置いてジーさんの茶の飲み方を実践

ズズズープファ大河はノリノリ


「プフふざけんなよ大河!Www」



どうしたい?

そんな聞かれても分からない大河の面白さに俺はクククと腰を折り笑いを

抑える。



「クスッあのおじいちゃん達

仲いいなぁ」

茉穂は遠目から2人を眺めるまさか茉穂が話題になっているなんて思いもしない。



そうなんだ茉穂が皆から

好かれ慕われ・・・

そんな所が嫌いだった

茉穂さんの旦那さんは云々

いい嫁さんで云々

俺はできた嫁の旦那

茉穂の旦那そう呼ばれていた

茉穂は泰さんの嫁さんって

余り呼ばれない!

何時も茉穂ちゃんの旦那は・・

の後には必ず俺の素行の悪さが話の華だらしない茉穂さんの旦那さん

誰もがそう呼んだ。

言われても仕方ない、今で言うギャンブル三昧に身を任せていたんだ。


今自分でもクソだと思う、

俺は大河の肩を叩き


「行くぞ!」


そう言うと大河は腰をトントントン役者な大河はゆっくりヨロヨロと腰を上げ


「ハイハイかえりますかねぇー」

そう言う大河と2人で企画課を出た。茉穂の様子を見に来ただけだなんの意図も無かった。




仕事は忙しい。

あっちで会議、コッチで打ち合わせ

海外にも出かける

季節は春から夏に移って行った。




「あーあ、つまんなーい。」

茉穂は同僚の美亜に愚痴る

美亜は最近営業から

部署移動して来た同じ28歳

茉穂と違い行動派


何となくだけど課長の山村創太と仲がいい。

2人の結婚も秒読みだろう。回りはドンドン嫁入りする。

取り残されてしまいそうな焦りも出てくるが、この人と思う男性と結婚したい気持ちは変わらない。


「あー美亜がうらやましーぃ。」

課長の創太は背も普通に高く顔もインテリ系の32歳


「アンタ専務狙ってる?」

誰にも言っていないのに美亜には

バレバレ


ドキドキド「な、何でわかるの?」


キャハハハ,、'`,、'`,、'`'`,、'`,、'`,、'`,、'`


「多分皆知ってるよーw

専務の行きそうな回りをウロウロ昼休みなんかエレベーターの陰に隠れて覗いたりしていい加減にしないと

ストーカー並だよ!ヤバイって!!」



「え?

ス、ストーカー?そんなつもり

ないって!!大袈裟だよーw」



「あのね、茉穂ストーカーに

聞いてみな、皆ストーカー

してないって言うよ

デモ相手からすると気持ちワリイの!!アンタやり過ぎの範囲だから訴えられても知らないよー。」



「ええ〜本当に!!

だったらどーしょう。」



「ま、まあそれは

大袈裟だけどサ

ファンなら適度な距離持たなきゃ

それに専務

大型不動産会社の令嬢と婚約って噂だよ。


「エッ・・・」

まあ大会社の専務だもんね

アリだよね〜ん?ドシタ茉穂、茉穂」


ガックリ茉穂は項垂れてペタンと

座った!

「こんなにもショックとは・・」

茉穂自身も想定していなかった。

狙いをつけて頑張っている茉穂には酷な話💦


美亜はありゃりゃーと叫び


「大丈夫?茉穂、茉穂」


ショックが大き過ぎたのか?

茉穂は立ち上がれ無い。


茉穂を担いでヨロヨロヨロ

気が抜けた人間は

こんなに重いのか美亜は50キロ

茉穂は45キロ

体重差で言えば茉穂の方が

軽いハズ。


「し、しっかりシロ茉穂」

ヨタヨタと歩く美亜とダラン

とした茉穂


後ろから泰真と大河がボーッと

見て、「手をかすか?」


大河が泰真の顔を見ながら

呟く。


「いや、関わると面倒だ!」


藍色のスーツのズボンに手を

ツッコミくるりと踵を交わし

泰真はエレベーターの方へと

歩いた。


"「茉穂大丈夫か?」

と館内に響く声に泰真も大河も

振り返る。


「あー淳弥」

美亜の声に淳弥は慌てて

駆け寄り茉穂を抱き抱える

美亜はホッとして茉穂の体を

預けた。



「うっわー

重かったー!」


美亜は背中スリスリの首コキコキ

かなりお疲れ気味。


「どーしたんだ?」

淳弥の問いかけに美亜は

口篭る。


丸い大きな目にブラウンの髪

185位はある、かなりの高身長

鼻はくっきりと高く

今風なイケメン。


そんな淳弥が茉穂を大事に思っているってことを、何となく美亜は感じ取れた。まさか専務の婚約話にノックダウンなんて淳弥には言えない🙊


「うん、ちょっとね💦

あー助かった」

美亜は自分の肩をポンポン


「ホラー茉穂しっかりシロ」


淳弥の問いかけにも茉穂は返事するのさえダルイって顔をする。


茉穂はお姫様抱っこをされながら

淳弥の肩に腕を回した。


そんな様子を見て泰真はメラメラと嫉妬の気持ちが湧き上がるのを感じていた。大河はそんな泰真を見つめながら


「どうした、ヤキモチか?」

と泰真を覗きこむ。


泰真は何も言わず苦虫を噛み潰したような顔をして大河の問いかけに聞こえてるのか?

いないのか?

抱き抱えられていく茉穂と淳弥と呼ばれる男を立ち尽くしながら見送った。



前世の記憶とはいえ証明出来ないが

なにを勘違いしているのか泰真は

茉穂が浮気しそうな嫁のような

ザワザワする気持ちが抑えられない。

泰真を夜な夜な叩き起こす夢はただの夢かもしれないのは、否定出来ない事実!



しかし泰真には茉穂を見つけた時から愛おしく思えていた。

この感情は前世のものなのか?

今現実のものなのか?夢なら早く覚めてほしい。



「大河、アイツ淳弥を

イギリスに飛ばせ、期間は2年

帰って来たら昇進を約束すると

餌を付けとけ!。」



「え、えぇえーき、急過ぎ(゚ロ゚;)

り、理由は?分かってるが聞きたい!」


フンッ「期待の星のキャリア、アップ!!」

泰真はポケットに手をツッコミながら

異様な笑みをとばした。


「完璧な

邪魔者排除だよナ、お前やる事

えげつなくないか!」


「フンッ芽を摘むのが何故悪い?」

泰真は、"いっちょ上がりー"みたいな

顔をしていた。


ヤレヤレ

なんて奴だー


大河は勝手過ぎる泰真を呆れて見ていたが気持ち分からなくもなく従う事にした。



"谷口 淳弥イギリス支店に

2年間の移動を命ずる"


直ぐ辞令は出され1ヶ月後谷口はイギリスへと飛んだ︎ ┈┈ ✈︎


茉穂も美亜も淳弥を見送りに行った時、遂に淳弥は茉穂のあどけない顔を見て我慢出来なくなった。

2年は長い、茉穂は待っていてくれるだろうか、いちもつの不安が過ぎる。


「茉穂、俺」

茉穂が専務好きなのを知ってる美亜は淳弥の出発の時、傷心してはマズいと思い


「帰ってから、帰ってから、先ずは

昇進がかかってるから頑張れ」


そう言って淳弥の告白を止めた



「私好きな人意外の赤ちゃん産まないの、だから淳弥とはナイナイ

友達ダヨ」



美亜が淳弥にしとけって、からかった時茉穂は、そう言って笑い飛ばした。つまりそれは淳弥とは付き合え無いって言ってる様な物だ!


茉穂はストレートに話す癖がある相手の気持ちより自分の思いを伝える方を優先するのだ。希望をもって出発する淳弥にそれは酷な話だ美亜にも淳弥は大事な友人だ、傷つける訳には行かない。



「分かった、行ってくる

美亜、茉穂を頼んだぞ!」


「う・・ん頑張ってね。」

と一応、当たらず触らずな返答をしてごまかした。


二年の月日が淳弥にいい人を与えてくれますように!と願わずにはいられない。


「ねえねえ

もしかして淳弥、イギリス人の彼女

連れてきたりしてねーっ笑笑

期待大だね!」


何も知らない茉穂はノー天気に明るい、淳弥の乗った飛行機を見送りながら美亜は茉穂を呆れた目で見た‼️






朝からドンヨリとした空に生暖かい風が吹いていたその日はまれに来る大型台風が近づいていた。


風も徐々に強くなりTVでは台風の動きをリアルタイムで放送していた。社員は早めに帰すように会社側か伝達した。



「ラッキー今日は残業も無し久々に早く帰ってオンラインゲームでもやるか!」

呑気に茉穂はオンラインゲームの事を考える。嫌なこともゲームで紛らわせて心機一転がんばれる。


バタバタと帰り支度をし駅へと走る相変わらずの大混雑、人並みを避けてホームへ向かう。


階段を登ろうとした時


「あ!」

バックを焦りながら

服のポケットをパンパン


「ない💦」

「アレ」


「無い‼️スマホが無い💦」


黄色い花を散りばめたビーズで縁取りをした財布がある事に少なからず安心したが


「あ、制服のポケット」


そうロッカーの中だ。

自分専用のロッカーの中だからロッカーの鍵もあるし大丈夫そうは思ったがどうしょう。

スマホは今じゃ分身の様な存在カメラもついてりゃLINEも出来るしゲームも出来れば本も読めるし音楽も聴き放題、YouTub〇も𝙏𝙞𝙠 𝙏𝙤〇も見れるし無いと不安に不便!


しかし、台風は近づいて来てるし

・・・

茉穂は、思い付いたように踵を返し走り出した。

電車が止まれば帰れなくなる。タクシーも順番待ちになれば乗れるか分からない!そんな事を考えながら走る。


会社迄10分だから大丈夫だろう。

と安易な考え、台風をナメるもんじゃ無かった。





「さあ、帰るぞ泰真

今日は酒でも飲むか?

勿論宅飲みでな」


大河が誘って来る。



「あ、ワリイ

俺この資料片付けてから

帰る、宅飲みは1人で

飲んでくれ」


俺(泰真)はパソコンを開き

外国との取り引きの資料を確認する。


「明日やれよ

今日は帰るぞ!」


大河は「ヤレヤレ」と諦めたのか仕事熱心な所は見習うべきだなと、大河は諦め気味にドアを閉めた。



外はビュービューと風も強まり

木々がゆれだした。


「あー来たか!」

泰真は黒く怪しく曇った空をみる

生暖かい風も微妙に気持ち悪い。

ポッポッポッ窓に当たる雨粒も

丸く弾けるように強くなって来た


俺は椅子をクルリと回し又空をを見る。ふと立ち上がり会社の前の横断歩道を見ると遠目でも茉穂の姿が目に入った。


「ん、何やってんだ?

雨降ってるし」

泰真は慌ててタオルを握り

エレベーターへと走った。


エレベーターが下降して

泰真が飛び出した時


軽く濡れた茉穂が裏口からエレベーターへ駆け込んできた。

そして俺と茉穂は初めて向き合った。


茉穂も目を大きく開き

多分俺も同じだったと思う。


時間が止まった様に

見つめ合った。


俺の手は自然に茉穂の

頬へ・・・


「えっ!!」



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