ブラック社畜の俺、部屋で深夜アニメを見ていたら駄女神に説明もなしにドラゴンの跋扈する異世界に強制転移される。でも今は≪盾の聖女≫と共に元気に最強勇者やってます!
第26話「今から2人で部屋でいいことしないかい?」
第26話「今から2人で部屋でいいことしないかい?」
「1000体を越えるドラゴン軍団をいとも簡単に全滅させてみせた噂の勇者様を、アタシはまだ見たことがなかったからね。ずっと興味があったのさ。意外と若くてびっくりしたよ」
「あはは、まぁな」
異世界転移した時に若返らせてもらっただけなので、俺は曖昧に笑って流した。
「できれば今までどこにいたのかとか、どうやって勇者の力を手にしたのかとか。もっと話をしてみたいところだけど、そっちはそっちで技の開発をしないといけないし、アタシも軍議だなんだとちょっと忙しくてね。残念だけどまたの機会にするとしよう」
「ごめん、俺の過去はちょっと内緒なんだ」
派遣女神にいきなり異世界転移させられたとか言っても信じてもらえないだろう。
いや天才軍師のメイリンなら納得するかも?
なんてことを思っていると、
「ふふっ、アタシは強い男が好きなんだけど、秘密のある男も好きなんだよね」
メイリンが妖艶に微笑んだかと思うと、俺の身体にピタッとくっついてきた。
「め、メイリン!?」
「今から2人で部屋でいいことしないかい?」
俺の耳元で息を吹きかけるように呟きながら、メイリンが胸をグイグイと押し付けてくる。
「お、俺にはリュスターナが……」
「アタシはばらさないから、君が黙っていればバレはしないよ?」
メイリンが俺の首元にキスをした。
「え、えっと……」
ご、ごくり……。
「どうだい? アタシは胸も大きいしスタイルもいい。ね、悪くない話じゃないだろ?」
このままメイリンとえっちしちゃってもいいかなと、俺の弱い心はほんの一瞬思いかけたんだけど。
だけど俺の脳裏にはすぐにリュスターナの笑顔が浮かび上がってきたのだ。
リュスターナを悲しませるようなことはしたくない。
そう思ってしまったのだ。
「ごめん、メイリン。俺はリュスターナのことが好きだから、メイリンとはそういうことはできない」
「バレやしないよ」
「バレないとかそういう問題じゃないんだ。これは俺の心の問題だから。俺はリュスターナを裏切りたくない」
俺はメイリンの身体を引き離すと、その目をしっかりと見て言った。
メイリンはとても魅力的な女性だ。
えっちしたいかと聞かれたらそりゃもちろんしたいに決まっている。
だけどそれでもやっぱり俺はリュスターナが一番だった。
リュスターナを悲しませるようなことは絶対にしたくない。
「……うん、合格だね」
と、突然メイリンがにっこりと笑った。
「合格……って、まさか俺を試したのか!?」
「いやね? リュスターナを泣かせるようなチャラ男だったら、いくら勇者と言えども容赦はしないと思ってちょっとカマをかけてみたのさ」
「まったく、そういうことかよ……」
「いやはや、女なら誰でもいい下半身のゆるいチャラい男じゃなくて良かったよ」
「はいはい、俺はどうせモテない冴えない魅力ないの3ない男ですよ」
この世界に来てリュスターナと仲良くなるまで、女の子と遊びに言った経験すらなかったですよ。
うるせーなバーカ!
その後、もう少しだけ話してから俺はメイリンと別れた。
…………
……
「残念、完璧に振られてしまったようだ。まったく秘密にしておけばいい思いができただろうに、勇者リョーマ=オクムラは相当義理堅いんだねぇ。ああダメだ、考えれば考えるほどより一層好きになってしまいそうだ。罪な男だよ、勇者リョーマ=オクムラは――」
王宮の廊下で一人佇む天才軍師メイリン=シュトゥットガルトの呟きを聞く者は誰もいはしなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます