ブラック社畜の俺、部屋で深夜アニメを見ていたら駄女神に説明もなしにドラゴンの跋扈する異世界に強制転移される。でも今は≪盾の聖女≫と共に元気に最強勇者やってます!
第27話 進撃する1万のドラゴンの大軍勢
第27話 進撃する1万のドラゴンの大軍勢
それからしばらくの間。
俺はリュスターナと新技の特訓を重ねながらその時が来るのを待っていた。
そして、ついにその時がやってきた。
メイリンと会合を持った日から数えて8日後。
「勇者様! ついに奴らがやってきましたよ! 空を埋め尽くさんばかりの10000のドラゴンの大軍勢です!」
自室でリュスターナとお茶を飲みながら話していた俺のところに、息を切らせて駆けつけた伝令の兵士が血相を変えて報告をした。
「ついに来たか」
「軍師メイリンの予測が見事に的中しましたね」
さらには続々と偉い人たちが集まってくる。
その中には軍師メイリンもいた。
「幸か不幸か、ここまではアタシの計算通りだね。これでアタシの出番は終わりだ、後は2人に任せたよ?」
「ああ、俺とリュスターナに任せてくれ」
「責任重大ですね……!」
「そんなに気張らなくても大丈夫だよ。メイリンのおかげで準備は万端なんだから」
俺は緊張をほぐすようにそっと優しくリュスターナの肩を抱いてあげた。
「勇者様にそう言われると緊張がパッと解けちゃうから不思議です」
「俺もリュスターナの可愛い顔を見るとやる気がさらにアップするぞ?」
「えへへ、ありがとうございます」
「やれやれ、相変わらず仲のいいことだねぇ。アタシの入り込む余地はなさそうだよ」
俺とリュスターナのやり取りを見たメイリンが小さく肩をすくめた。
「ですがやはり10000の大軍勢というのはもの凄いですよ。できれば少ない方の見立てが当たってくれてたら良かったんですけど」
リュスターナの言うとおり、分かっていても10000体のドラゴンはちょっと数が多いよな。
よくもまぁこれだけの数を集めたもんだ。
「メイリンも言ってけど、ドラゴンってのは本当に勇者が嫌いみたいだなぁ」
「みたいですね……」
リュスターナが頷きながら、少し不安そうに俺の袖をキュッと握ってくる。
「大丈夫だよ、そのための特訓だってしてきたんだ。それにドラゴンたちはこっちが万全の状態で待ち受けているとも知らずに来るんだぞ? まさに飛んで火にいる夏の虫さ」
リュスターナを安心させるように、俺は頭を軽くポンポンと優しく撫でてあげた。
「ですが『例のアレ』の成功率はまだ50%くらいです。私が上手くやれないせいで勇者様の足を引っ張ってしまうかもしれません……」
それでもリュスターナはまだちょっと不安がぬぐい切れないようだった。
リュスターナは真面目だから、失敗したら自分の責任とか思ってるんだろうなぁ。
「心配するなってば。練習と違って本番は集中力が増すから、成功率はもっと上がるはずだ」
「だったらいいんですけど……」
「それに最悪上手くいかなくても、今まで通り戦えばやってやれないことはないと思うしな。俺の強さは知ってるだろ?」
「それはもちろん、他の誰よりも私は勇者様の強さは理解しているつもりです」
「ならそんなに悲観的にならないでくれな。俺はリュスターナの悲しんでいる顔よりも、笑っている顔のほうがはるかに好きなんだから」
「勇者様……あ、ん……」
俺はリュスターナにチュッとキスをした。
そのままそっと優しく抱きしめる。
さすがにここまでやればリュスターナも心の底から安心してくれたようだった。
これでリュスターナの緊張も不安も取り除いてあげれたはず。
きっとリュスターナは訓練の時よりもはるかに上手に『例のアレ』をやってのけることだろう。
「それで侵攻のルートは? どこから攻めてくるんだ?」
リュスターナはもう大丈夫と判断した俺は、リュスターナの肩を抱きながらメイリンに尋ねた。
「前回の侵攻時と同じく、北方の山岳地帯を空から超えてこの城へと向かっているみたいだね」
「北から山越えか。ご苦労なこって。そういやドラゴンの拠点は北方にあるって話だったな」
「ドラゴンの拠点であるドラゴンズ・ハイランドは、北方山岳地帯をさらに超えた先にある峻嶮な山々が連なる高地にあるんですよ」
「人間では到底越えられない
「なるほどな」
「おそらくいったん本拠地に大軍勢を集めてから、一直線にこの城に向かっているんだろうね」
「詳細は分かった。すぐに迎撃に向かう! みんなは城の防備を固めておいてくれ。なに、とっておきの秘策があるんだ。撃ち漏らしはしないから、みんなはあくまで念のためな」
俺はここにいる全員を安心させるように凛々しく宣言した。
その言葉に、ここに集った皆が俺に最敬礼でもって応えてくれる。
「勇者リョーマ=オクムラ、そしてリュスターナ。2人の武運を祈ってるよ」
メイリンが懐から火打石を取り出してカカッと打ち鳴らす。
これは東方の島国生まれのメイリンの故郷で、武運を祈るおまじないなのだと後でリュスターナに教えてもらった。
さらには、
「ちゅっ♡」
景気づけか、リュスターナが俺にキスをしてくれる。
「ちゅっ♡ ちゅっ♡」
俺もリュスターナに情熱的なキスで応えた。
唇を離した後、しばらく見つめ合ってから。
「じゃあ行こうかリュスターナ。まずは雑兵ドラゴンの数を減らす。『例のアレ』を開幕からぶっ放すぞ」
「はい、勇者様! ドラゴンたちに目に物を見せてやりましょう!」
俺とリュスターナは、竜魔王軍の本体を迎え撃つべく出撃したのだった。
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