ブラック社畜の俺、部屋で深夜アニメを見ていたら駄女神に説明もなしにドラゴンの跋扈する異世界に強制転移される。でも今は≪盾の聖女≫と共に元気に最強勇者やってます!
第20話 街でデート 1(ペンダントをプレゼント)
第20話 街でデート 1(ペンダントをプレゼント)
「ちなみにメンデル司令官って、ドラゴンに滅ぼされたとある王家の生き残りなんですよ」
「げっ、あの人って王族だったのかよ!? 人のいいおっちゃんって感じで全然そんな風には見えないぞ?」
「ふふっ、私も初めてそのことを知った時は、今の勇者様と同じくらい驚いたものです」
その時のことでも思い出したのか、リュスターナが小さく笑う。
「だよなぁ、そりゃ驚くよなぁ」
突然明かされたメンデル司令官の秘密には、俺もただただ驚くしかなかった。
「すみません、話が逸れちゃいましたね。そういうわけなので、この街にはお店もたくさんあります。今日は目いっぱい楽しみましょうね♪」
「だな」
「あ、あそこのお店、ちょっと覗いて行きませんか? アクセサリーショップなんですけど」
リュスターナが少し先のお店を指差した。
「いいぞ。むしろ初めて来た俺はどこに何があるかさっぱりだから、リュスターナに案内してもらった方がいいかなって思うし。リュスターナはこの街のこと詳しいんだろ? 色々と案内してくれないかな?」
「そういうことでしたら、どうぞお任せあれ。最高のデートをエスコートしちゃいますから♡」
「じゃあまずはリュスターナが見てみたいっていうあの店に入るとするか」
リュスターナが見たいと言ったのは、主に若い女性向けのアクセサリーを販売している小さめのお店だった。
店内には色とりどりの宝石を使ったネックレスや指輪などが並べられている。
「わぁ可愛い……♡」
ズラッと並ぶ色とりどりのアクセサリーを見て、リュスターナが目を輝かせる。
「へぇ。可愛いのからちょっと気取ったのまで、色々扱ってるんだな」
「本物の宝石からイミテーションまで扱っているので、その人の懐具合に合わせて選べるのがここの魅力なんですよ」
単に見て回るのもなんだし、せっかくだからリュスターナに似合いそうなアクセサリーを探してみよう。
「ふむふむどれどれ……おっ、これなんか素敵じゃないか?」
いくつも並んでいる中から、俺は綺麗な青い宝石のついたペンダントを手に取ってリュスターナに見せたみた。
「あ、とても綺麗です……まるでよく晴れた日に太陽の光をキラキラ反射する大海原を見ているみたいです」
「試しに付けてみてくれないか? きっと似合うぞ」
「はい……どうでしょうか?」
ペンダントを付けたリュスターナが上目づかいでおずおずと尋ねてくる。
「おおー、よく似合ってるな。すごく大人っぽくなった」
「本当ですか?」
「ほんとほんと。リュスターナの髪は綺麗な金色だから、澄んだ青が胸元にあるとグッと映えるよな。目の色とも一緒だから自然だし」
本当に似合っていた。
女の子のアクセサリーを選んだことなんて今まで一度もなかったけど、俺って意外とセンスが良かったのか?
ま、たまたまだな。
俺はファッションの知識なんてさっぱりだし、偶然当たりを引いたんだろう。
そもそもリュスターナは超美人なので、何を付けても似合わないことなんてないだろうし。
「えへへ、お褒めいただきありがとうございます、勇者様。私もこれ、すごく気に入りました♪ でもちょっとお高いですね。買うのは厳しそうです」
「じゃあこれをリュスターナにプレゼントさせてもらうな」
「え? あの、でも。これかなり高いんですけど、いいんですか?」
プレゼントすると言われたリュスターナが驚いた顔を見せる。
最近ずっと一緒にいるから自然と知ったんだけど、リュスターナってかなりの遠慮しいなんだよな。
普段も派手な贅沢なんてせずに質素に暮らしているのだ。
「もちろんさ。実はこれまでの戦闘報酬として、メンデル司令官から結構な額のお金を貰ったんだよな。でも俺自身はあんまり使うことはないし、だったらいろいろと仲良くなった記念に、ぜひともリュスターナに贈り物をしたいなって思ったんだ」
「ですが――」
「俺の気持ちだから。だから貰ってくれないとリュスターナに拒否されたみたいで俺は悲しいなぁ」
俺はわざとらしく俯くと、チラッと上目づかいでリュスターナを見た。
「そういうことでしたらありがたく頂戴いたしますね。えへへ、ありがとうございます勇者様。大好きです♡」
「俺もだよリュスターナ。ちゅ♡ ちゅっちゅ♡」
「あ……んっ、ちゅっ♡ ちゅっ♡ れろっ……ちゅぱっ♡」
なんていうかこう、心がグワっと盛り上がっちゃった俺とリュスターナは。
店員さんが見ていなかったのをいいことに、お店の中だっていうなのに情熱的なキスをかわしたのだった。
それもこれもリュスターナが可愛すぎるのがいけないんだからな!
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