ブラック社畜の俺、部屋で深夜アニメを見ていたら駄女神に説明もなしにドラゴンの跋扈する異世界に強制転移される。でも今は≪盾の聖女≫と共に元気に最強勇者やってます!
第17話 今はもうありがとうという気持ちしかないよ
第17話 今はもうありがとうという気持ちしかないよ
あれからドラゴンたちの襲撃もなく、リュスターナと散々♡♡ちゅっちゅ♡♡する日々が続いていたある日。
俺は前線基地となっているお城にある自分の部屋で、やや遅めの朝食を食べていた。
隣には当然のようにリュスターナがいる。
「勇者様、1000体のドラゴン軍団とグレートドラゴン討伐の話で城内は今、もちきりですよ」
「へぇ、そうなのか」
「なにせ勇者様の天空での戦いは、たくさんの兵士たちが見ていましたからね。彼らはまるで吟遊詩人にでもなってみたいに、あちらこちらで勇者様の活躍ぶりを語って聞かせているんです」
「なんだかアイドルになったみたいで気恥ずかしいな。背中がむずむずしてくるよ」
今までの俺の人生、ブラック会社でバカにされたり罵られることはあっても、こんな風にチヤホヤされることなんてなかったからなぁ。
「では勇者様がアイドルになったら、私がマネージャーをしましょうか?」
リュスターナが冗談半分でそんなことを言ってくる。
ドラゴンの大軍を壊滅させたことで、リュスターナも気持ちが楽になって心がウキウキしているんだろう。
「でもこうやってリュスターナが嬉しそうに報告してくれるのが、俺にとっては一番嬉しいかな」
なんちゃって。
ちょっとキザ過ぎたかもしれない。
だってほら、トントン拍子でいい感じに物事が進んでいくからさ?
だから俺がちょっと調子に乗っちゃっても、正直仕方なくない?
「もう勇者様ってばぁ……。はい、あーんです♪」
リュスターナはサンドイッチを俺の口元へと差し出した。
ぱくっ。
俺はそれを咥える。
「もぐもぐ……うん、美味しい」
「えへへ、頑張って作った甲斐がありました♪」
このサンドイッチはリュスターナが作ってくれたものだ。
この前の勝利の祝い飯も美味しかったし、リュスターナは料理も得意――というか料理に限らず何でもかなり器用にこなせるようだ。
ベッドの上でもすごくえっちだしな、むふふっ。
初日こそ、汚れなき純潔の乙女だったリュスターナは、身体を強張らせて俺の為すがままにされていただけだったけど。
2日目以降の夜はというと、ある程度慣れたんだろう。
今度は俺を気持ちよくさせようと、リュスターナも色んなことをして楽しませてくれたのだ。
「ありがとうなリュスターナ」
そんなえっちっちなことをちょっとだけ思い出しながら、俺はこうやって甲斐甲斐しく俺に尽くしてくれるリュスターナに心からの感謝の気持ちを告げた。
「いえいえ、私のほうこそいつもご迷惑をおかけしていますので、これくらいは当然です。なにより私たちときたら、勇者様に世界を救ってもらっている真っ最中なんですから」
「まぁ俺は勇者だからな。このままリュスターナとも一緒にいたいし、頑張って大魔竜ドラグバーンを倒してみせるよ」
「はい、私も勇者様とずっと一緒にいたいです。どうか大魔竜ドラグバーンを倒してくださいませ。そして平和な世界で一緒に暮らしましょう」
「おうよ、任せとけ!」
そうだ、大魔竜ドラグバーンさえ倒せばこの世界は救われるのだ。
そうしたらリュスターナも喜ぶんだ。
そのためならいくらでも戦おうじゃないか。
なにしろ俺は勇者。
今や人類の希望の星なのだから。
そして全て終わった後には、金銀財宝を手にしてリュスターナと楽しくえっちに過ごすのだ。
俺はリュスターナとバラ色の未来予想図を語らいながら、それはもう気分よく遅めの朝ごはんを食べたのだった。
「ところで勇者様、本日は何かご予定はあるんですか? 訓練とかされますか?」
リュスターナが煎れてくれた食後のお茶を美味しく飲んで一服している俺に、食事の後片付けをしながらリュスターナが尋ねてきた。
ちなみに勇者である俺の身の回りの世話をするために、城のメイドたちが何人か専属でついてくれているんだけど。
『勇者様のお世話は私の役目ですから!』
リュスターナがそう言って聞かなかったので、今はもっぱらリュスターナが俺の世話を焼いてくれている。
なので専属メイドたちは開店休業状態で、基本的には別の仕事をしていた。
甲斐甲斐しくお世話をしてくれるリュスターナは新婚ほやほやの新妻みたいで、俺はもうそれだけで幸せな気分でいっぱいになってしまう。
あの無責任極まりない9次下請けの派遣駄女神に、ろくな説明もなくいきなり異世界送りにされた時はどうなることかと思ったけど。
今はもうただただありがとうという気持ちしかないよ。
サンキューな、女神さま。
ま、ちゃんとした説明があったらもっと言うことなかったんだけれども。
もう2度と会うことはないであろう派遣な女神さまのことは、とりあえずその辺に置いておいてだ。
俺はリュスターナとの楽しいお話を続けることにする。
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