ブラック社畜の俺、部屋で深夜アニメを見ていたら駄女神に説明もなしにドラゴンの跋扈する異世界に強制転移される。でも今は≪盾の聖女≫と共に元気に最強勇者やってます!
第8話 vsキングドラゴン(上位種ドラゴン)(1)
第8話 vsキングドラゴン(上位種ドラゴン)(1)
「この鱗の色……! まさかキングドラゴン!? ドラゴンの中でも上位種のキングドラゴンが、まさかこんなところに現れるなんて――!」
なるほど、リュスターナが恐怖していたのはこれが原因だったのか。
「でもこのドラゴン――えっとキングドラゴンだっけ? こんな大きな図体でどうやって洞窟の中まで入ってきたんだ?」
キングドラゴンはこの前戦ったドラゴンと同じ20メートルくらいのサイズで、少し赤みがかった黄色(黄土色って言うのか?)の鱗に覆われている。
でもこれだけの巨体だと、俺たちが通ってきた通路はどう考えても通れないはずだ。
「おそらく通路を破壊して押し広げながら、強引にここまで入ってきたのでしょう。先ほどの連続して聞こえてきた破砕音は、キングドラゴンが洞窟を破壊しながら進む音だったんです」
「ほんとやることなすことメチャクチャだな……」
通れなければ通れるようにすればいいってか。
さすがドラゴン、ワイルドすぎる。
しかもそんな強引な方法を取ったっていうのに、鱗には傷一つついていないときた。
あと洞窟が崩落しなくてよかった。
異世界に来てわずか2日で崩落に巻き込まれて圧死とか訴訟もんだからな?>駄女神。
「それがドラゴンという最強種なのです。人類の長きに渡る盟友であり、しかし今や人類の宿敵となってしまった恐ろしい存在……」
「なるほどな、よく分かったよ」
「そして今、私たちはその中でも上位種のキングドラゴンに、逃げ場のない洞窟の奥で追い込まれてしまいました……」
リュスターナは絞り出すように言って、苦渋の表情を浮かべたのだが――、
『ほぅ、それはまさか聖剣≪クラウソラス≫か? 伝説に名高い聖剣≪クラウソラス≫を抜くとはな。なるほどなるほど、つまり貴様は聖剣に認められた勇者なのだな?』
突然どこからともなくそんな言葉が聞こえてきた。
声がした方向にいるのはキングドラゴンだけだ。
ということは――!
「なぁなぁ、リュスターナ。今ドラゴンが人間の言葉をしゃべったぞ?」
「キングドラゴンはドラゴンの中でも上位種だけあって、人間の言葉もバッチリ理解するんです」
「ほんとドラゴンすげーな……」
種族の壁を越えてバイリンガルかよ。
『くっくっく、昨日妙な力を感じたので気になってやって来てみれば、まさか勇者がいたとはな。勇者を倒したとなれば、我も大手柄よ。大魔竜ドラグバーン様もさぞやお喜びになることだろう』
「大魔竜ドラグバーン、やっぱり悪のドラゴン軍団の手下か」
『くくっ、悪だと? 何が正義で何が悪かを決めるのは脆弱な貴様ら人間ではない、最強種たる我らドラゴンなのだ」
「うわこいつ、うぜぇ……」
何様だよ。
あ、ドラゴン様か。
でも強けりゃ何してもいいってのはやっぱダメだと思うんだよな。
「くくくく! さぁ勇者よ! この≪試練の洞窟≫が貴様の墓場となると知るがよい!』
「残念ながら、こんな狭っくるしい穴の中を墓場にはしたくないかな?」
『ふははは! もはや問答無用だ、死ねぃ勇者!!』
咆哮を上げると同時にキングドラゴンはドラゴンブレスを吐きかけてきた!
「――っ! ドラゴンブレスは大量のマナを、凶悪な破壊エネルギーに変えるスキルです! キングドラゴンのブレスともなれば、その威力は普通のドラゴンの十倍以上! いけません、勇者様! 逃げて!」
リュスターナが悲鳴を上げる。
だがしかし、俺は全然ちっとも動じてはいなかった。
「いやこれくらい全然余裕で大丈夫だから」
事実。
俺が聖剣≪クラウソラス≫を軽く一振りしただけで、キングドラゴン・ブレスは跡形もなく霧散していた。
「≪プロテク――ふえっ…………?」
俺を守るために慌てて光の盾≪プロテクション≫を発動しようと、カッコよく両手の平を前に突き出したリュスターナが、その体勢のまま口をポカーンと開けて固まる。
大きく目を見開いていて、まさに絶句していた。
そりゃそうだろうなぁ。
俺だってまさかこれほどの圧倒的パワーだとは思わなかったもん。
どうも聖剣≪クラウソラス≫はただでさえ強力な勇者の力を10倍、いや100倍近くまで引き上げてくれるみたいだな。
しかもスキル『剣聖』――熟練の剣術スキルまで、使い手に付与されるようだった。
だから剣術素人の俺でも最良のタイミングで聖剣を振ることができたのだ。
さすが勇者専用の剣というだけのことはある。
これなら負ける気がしないぜ!
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