第25話 戦闘開始

―― ドン!!


 騎士たちが一斉に牛丼を襲う。


 だが、牛丼はその攻撃を避ける。


牛丼

(くっそ!!)


牛丼

(まさか、人とやり合うことになるとは……、)


牛丼

(でも、王国を敵に回すのは流石にヤバいだろ。)


牛丼

(殺すなんて以ての外。)


牛丼

(なら、こうするしかないか!!)


 牛丼は攻撃を避けながら、右手を前へ突き出した。


牛丼

「少し痛いけど、我慢してくれ!! 【水操作】!!」


 すると、牛丼の背後から滝のような水が流れた。


―― ドォォォォンッ!!!


騎士たち

「「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」


 騎士たちは、水によって流されていった。


 だが、それでもその場に立っている騎士が1人。


 『騎士長の旗章』をつけた騎士だ。


ザック

「俺の名前は、ザック。騎士長、ザックだ。」


牛丼

「俺は、勇者の牛丼だ。」


ザック

「牛丼、すぐに終わらせてもらう。」


牛丼

「言っておくが、俺はそう簡単に負けるつもりはないぞ。」


ザック

「いつまで、そう言っていられるかな。」


 ザックは剣を抜き、牛丼がいる方の虚空を斬った。


 瞬間。


 その虚空から現れたのは、水。


 その水が、牛丼を激しく打ち付けた。


牛丼

「グハッ!!」


 ただ打ち付けただけじゃない。


 その水は、身体を切り裂くような威力だった。


牛丼

「アァァァァァァァァア!!」


ザック

「【流水剣】、これが俺のスキル。お前ごときに負けるわけがないだろ。」


 しかし、その直後。


―― キンッッッ!!


 金属と金属がぶつかる音が響いた。


牛丼

「ッッッ!!」


ザック

「ッ!?」


牛丼

「言っただろ、そう簡単に負けるつもりはないってな。」


―― キンッ!!

―― キンッ!!

―― キンッ!!


 そして、牛丼とザックの剣と剣をぶつける戦いが始まる。


牛丼

「ぐぬぉおおおおおぉ!!!」


ザック

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


―― ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴォォ!!


 剣のぶつかり合いにより、辺りに巨大な風が巻き起こった。


牛丼

「ふァァァァァァァァァァァァァァァァ!!


ザック

「あああああああああああああああああ!!」


ザック

「【流水剣】!!」


―― ズンッ!!


牛丼

「クッ!?」


 牛丼の身体が大きく吹き飛ぶ。


 そんな牛丼に更に、


ザック

「【流水剣】!!」


 水が襲った。


 だが、


牛丼

「同じ攻撃が、そう何回も通用するとは思わない事だ!!」


牛丼

「【オーバーカウンター】!!」


 牛丼を襲うはずだった水は、真っ直ぐザックに跳ね返った。


ザック

「なん、だとっ!?」


―― ゴゴゴォォォ!!


牛丼

「はぁ、はぁ、」


ザック

「はぁ、はぁ、」


 お互い息がとても荒くなっている。


ザック

「なかなか、やるみたいだな。」


牛丼

「まぁな。」


牛丼

(くっそ、治ってなかった傷が開き始めてる。)


牛丼

(あまり、長くは持たないぞ。)


牛丼

(どうしたら、いいんだ。)


ザック

「【流水剣】!!」


牛丼

「だから、効かないんだよ!!」


 牛丼は【オーバーカウンター】で【流水剣】を跳ね返した。


 が。


 跳ね返している間に、真後ろからもう一撃の【流水剣】が襲った。


牛丼

「くっ、そ!!」


 牛丼は【オーバーカウンター】で跳ね返している途中の【流水剣】を巻き込みながらも、後ろから襲ってきている【流水剣】をも絡み取ろうとした。


 そのため、無理に身体を捻った。


 まるで、骨が折れていくような鈍い音がした。


 それでも、


 巻きとる。


 捻る。


 負ける訳には、いかないんだから。


 死ぬ訳には、いかないんだから。


牛丼

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


―― ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴォオォォオォッッッッ!!


 跳ね返した【流水剣】が落ち着いた時。


 牛丼とザック、両者の目が一瞬だけ合った。


 直後。


―― ドンッ!!


 2人が地面を蹴り出す音が鳴り響く。


 そして、


牛丼

「【ボルケイノ】!!」


ザック

「【流水剣】!!」


牛丼

「第参奥義!!」


ザック

「奥義!!」


牛丼

「【音速一閃突】!!!!!!」


ザック

「【流水の粉砕】!!!!!!」


―― キィィィィィンッ!!

―― ドゴォォォォォォォォォォォォォォ!!

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