第二章 タクトの森

第8話 タクトの森

 どうも皆さんこんにちは、勇者の佐藤牛丼です。


 今日は皆さんに報告しなくてはいけない事があります。


 そう、俺たちは現在……


牛丼

「大量のモンスターに襲われてまぁぁぁぁす!!」


リコ

「ギヤァァァァァ! なんか、蜘蛛みたいな変なモンスターがぁぁ!? 私、虫嫌いだよ!!」


セイヤ

「それくらい自分で倒してください!」


タツヤ

「あ! 俺、虫ならいけるぜ!」


セイヤ

「バカ! 今、お前が離れたら僕がやられてしまうだろ!」


タツヤ

「確かにー。」


 タクトの森についた牛丼たちは、その森の中で見つけた集落の跡地のような場所を拠点に生活を始めようとしていた。


 だが、牛丼たちの存在に気がついたモンスター達が牛丼たちに襲いかかってきたのだ。


牛丼

「やるしかねぇな。」


 牛丼は自身の背中で背負っている剣――


 彼の師匠が愛用していた剣を抜いた。


牛丼

(力を貸してくれよ、師匠!)


牛丼

「お前ら! そこでそのまま抑えてろ!!」


リコ・セイヤ・タツヤ

「はい!!」


 牛丼はたっぷりと息を吸い込んだ。


牛丼

「【ボルケイノ】!!」


――キュイーン! キーーン!!




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


『勇者に就職したし異世界でスローライフでもするか。』


 第二章 森のスライム


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


《西暦2061年5月2日・タクトの森》


リコ

「はァ、はァ、もう疲れた〜!」


セイヤ

「さすが、タクトの森。モンスターの強さも桁違いですね。」


タツヤ

「やっと、休憩できるー!」


牛丼

「俺も、流石に疲れたわ。」


 予想を遥かに上回る量のモンスターに襲われた牛丼一行。


 なんとか、その全てのモンスターを追い払った牛丼達は、集落の跡地のような場所をある程度片付けた。


 そして、そこでテントを組み立てた。


牛丼

「しばらく休憩ターイム!」


リコ・タツヤ・セイヤ

「おー!!」


 数時間後。


――ガサガサ


牛丼

「ん?」


牛丼

(やべ、完全に寝てた。)


牛丼

(これでモンスターに囲まれてたらどうするんだよ。バカか俺。)


――ガサガサ


牛丼

(なんだこの音。)


牛丼

「もしかして、本当にモンスターが!?」


 牛丼は剣を手に取り、すぐにテントから飛び出た。


牛丼

「ッ!!」


 そして、そこにいたのは……。


 100体ほどのスライムだった。


 牛丼は剣を強く握った。


スライム

「ま、待ってください!!」


牛丼

「なんだよ。」


スライム

「ぼ、ボクたちは悪いスライムなんかじゃないんだよ!!」


牛丼

「は?」


 牛丼の警戒モードはまだ終わらない。


スライム

「こ、ここはボクたちの集落なんだ。」


スライム

「いや、集落というよりかは、避難所? みたいな。」


スライム

「スライムの生き残りをここに集めてるんだ。」


牛丼

「避難所? 生き残り? 何を言ってるんだ?」


 よく見ると、スライムたちは脅えているようにも見える。


 牛丼は剣を構えるのを辞めた。


スライム

「キミたちも早く逃げた方がいいよ! すぐにマノテが来るから!!」


牛丼

「魔の手……。」


牛丼

「詳しく話をしてくれないか。」


 牛丼は、剣をしまった。


 そして、テントの中で寝ている3人の勇者を起こしに行った。




――パチパチ


 焚き火を取り囲みながら、牛丼達はスライムの言葉を待った。


牛丼

「それでスライムくん。」


スライムくん

「す、スライム"くん"!?」


牛丼

「おん、君をスライムくんと呼ぼう。」


スライムくん

「じ、実はボクたち、怖い人から逃げてきたんです。」


牛丼

「怖い人?」


スライムくん

「はい、ボクたちの村を襲った人です。」


牛丼

「は、はぁ。どんな奴なんだ?」


スライムくん

「それは、ですね……。」


スライムくん

「確か、名前を"ラドリー"と言っていた気がします。」


牛丼

「ラ、ラドリー、だと。」

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