母を愛するのは家族として駄目だろうか・・・?

藍のコト派

第1話  プロローグ

 少ない友人との昼飯中、pupupuと携帯が鳴った

「もしもし」

『もしもし裕翔ゆうと君か?」

「はい」

『えっとな落ち着いて聞いて欲しんだが、お母さんが救急車で運ばれた』

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥えっ?」


 真っ白になった

 父さんの時は子供ながらに理解が出来ず、ずっと泣いてる母を慰めるだけだった様な記憶が…

 えっ母さんが…?なんで?どうして?

 今朝だって…

 いや…たしかに数日前から体調悪そうだったけど‥‥‥でも笑顔だった…

 もしかして無理してた??

 そんな事も気づかなかった?



「おい!」

「大丈夫か!?」

『もしもし!もしもーし』


 俺は状況の理解が出来ず今までの反省と後悔と自分の甘さと母を失うかもとゆうグッチャグチャな気持ちが襲い手から携帯が落ちるが


 俺は母さんも失うのか…あの笑顔はもう見れないのか…


 頭を抱え蹲ってると頭に強い衝撃を受けた


「おい!」


 顔を上げれば友人が携帯を俺に渡してきた


「最後まで話を聞け!」


 そんな言葉に恐る恐る携帯に手を伸ばし耳に当て

「もしもし…」

 頭を殴られた事で少しは落ち着いたかもしれないけどやはり声は震える


『あ、いや、こちらこそ驚かせてしまって申し訳ない。いや…君達家族の事は聞いてたからな…でだ、君のお母さんは大分無理してたみたいなんだ…気づかなかった私が言うのもなんだが申し訳なかった。だが命に関わる事は無いから安心して欲しい…少し休暇は必要かもしれないがな‥‥‥だから君も安心しなさい。それで病院だがな市民病院だ、入院の必要が有るから着替えとか必要な物を用意してくれるかな?』


 生れて始めて心からのため息が漏れた‥‥‥

「分かりました、今すぐ行きたいけど学校終わってから行きます。それまで母さんを…お願いします…」


 今すぐ行きたかった、顔も知らない人に母さんをお願いなんて言いたくなかった!でも俺は…まだ子供で…大人に頼らないと生きてはいけない

 何が悔しいのか解らないが涙が出た。





 病室に向かい母の姿を見た時に……唖然とした

 髪はパサパサ、肌はガサガサ、頬は痩せこけ目元は窪み‥‥‥


 信じられなかった…あの可愛らしい母さんの面影はまるで無かった

 俺はこんなになるまで母さんを見て無かったのかと

 信じらんね!バカじゃねーのか俺!


「心配かけてごめんねゆうくん…」


 消え入るような申し訳なさそうなそんな言葉に俺の涙腺は壊れた……


「ち…ぢがう…よ…おれ‥‥‥が…わ…るい‥‥‥ごめ…んな…ざぃ‥‥‥お…ぉがぁ…さん————」



 何時ぶりだろうか母の胸に抱かれて眠るのは‥‥‥


 目が覚めたら久しぶりに見た優しい母の瞳だった

「おはよう。うふふ…」


 頭を撫でられ凄く安らかな目覚めだった

 とても懐かしく穏やかな母さんの声が


 俺の今までを壊してくれた様な気がした‥‥‥‥‥



 ねぇママ、どうしてパパは居ないの?


 ねぇお母さん、うちってビンボーなの?


 ねぇお母さん、ゲーム機買って欲しんだけど…持ってないの僕だけなんだよ


 ねぇ母さん、みんな携帯持ってるんだけど‥‥‥


 ねぇ母さん‥‥‥御免なさいと有難うはどう伝えたら届くだろう‥‥‥


 ねぇママ、僕を生んでくれてありがとう‥‥‥


 ねぇお母さん、今日のご飯美味しいよ‥‥‥


 ねぇ母さん、毎日のお弁当有難う‥‥‥


 ねぇ母さん、今日もお仕事お疲れ様‥‥‥


 ねぇ母さん、甘えてばかりでごめんなさい‥‥‥


 だから


 これからは母さんを甘やかす!そう決めた!!






 母が退院してから家事手伝いに俺はジョブチェンジした

 友人にも母の手伝いが有るから一緒には居られない事を告げ

 掃除・洗濯・料理・お弁当等…家事スキルをトコトン上げた



 だがやはり

 入院して仕事を休むからには収入が減る


「ごめんね…今月のおこずかいは‥‥‥‥‥」


 まぁそうなる

 だから


「気にすんなよ母さん、俺バイトするから!これからは俺が母さんを楽させるから収入は気にすんな!!」

「でも…」

「ねぇ母さん、俺が母さんを支えたいんだよ、俺だけが甘えてたらまた母さんが倒れるじゃん!!ね?ママ、支え合って家族でしょ?」


 ビンボーでいいよ!辛くってもいいよ!こずかいなんてどーでもいいよ!


 けど…だけど…笑顔は無くしたらダメなんだよ!!


「俺は母さんの笑顔が大好きなんだよ!!」





 それから俺は父の友人に会い不本意ながら事情を説明し頭を下げなんとか親戚枠であくまで仕事の手伝いとゆう事で少ない賃金を貰いながらコツコツの日々を過ごしていた


 その日はとあるビルの補修用足場の作業だった

 日曜の朝にも関わらず人の入りは多かった


 俺はまだ中学生だったから出来ることは少ない

 片付け・休憩の飲み物の買い付け・荷物運びなど…

 怪我でもされたらとてもじゃないけど会社としても言い訳出来ない

 嫌でも記される年齢の壁

 歯がゆい思い

 苛立ちを押さえながら自動販売機に向かったその先には飲み物を選んでる人が居た


 俺の存在に気付いてであろうその人は

「あれ?なんでこんな所に子供が?」


「あ…足場作業の手伝いで…」

 子供と言われた時点でバイトとは言えない

 やっぱり見た目で分かる《子供》なんだな‥‥‥


 母さんを助けるにはまだまだ年齢が足りないらしい

 早送り出来ない時間に歯がゆさ、見た目で子供と判断される自分に苛立つ感情にこんな事で感情が揺れる事にやっぱり俺は子供なのか?とも思い少しだけ溜息が漏れる




 昼休憩

 食事を終え自販機横に座り込み疲れた体を休ませてる時だった…

「よっ!」

 と、先ほど此処で会った人が軽く手を上げ声を掛けて来た


「どうも」

 ペコリと挨拶を交わすが、中学二年の俺に大人相手の社交性スキルなんて物は存在しないので今までも相槌や愛想笑いしか出来ないのである


 その人は自販機にコインを入れボタンを押し落ちて来た缶を取り出し喉を潤す

 声を掛けられたせいかその行動を目で追ってしまった

「君はなんでその年で働いているんだい?まだ中学生くらいだろ?」


 中学生男子なんて漫画やゲーム三昧の毎日だろう、それこそ箸が転がっても笑ってる様な年齢だろう…だけど俺は母さんの笑顔を守ると決めた。そんな故の子供の素直さからか単純さからか事情を話してしまった


 言葉を選びながらたどたどしい話が終わると

「そうか…」

 と言って何やら考え込み

「うん。よし!」

 何かが決まった様だ‥‥‥


「そういえば自己紹介がまだだったね。俺の名前は三枝義弘さえぐさよしひろだ、このビルの3階にある[SYシステム]を経営してる。まぁ社員は少ないがな…って事でよろしくな!」


 へぇ~と思わずビルを見上げてたら

「で、君の名前は?」

 と聞かれてしまった


 失敗したと思いつつ

「あ、ごめんなさい。俺、あっ、いや、僕は蒼井裕翔あおいゆうとです」

 初対面の大人相手に少しキョドってしまったが

「はっはっは。そう固くなるな!そうか、あおいゆうと…か。よし裕翔、お前うちで働け!」


 第二の父と呼べる人との出会いだった



 SYシステム

 起業してまだ3年らしい

 順調?とは言えないが、クライアントも増えコツコツと業績を上げてるらしい

 従業員も10人程…もっと増やしたいらしいが増やした所で仕事も資金も回らなくなるから困ってるらしい

 なので雑用等の仕事なら猫の手も借りたいほどだと三枝さんは言った


 一方足場作業の仕事と言えばほぼ朝から夕方まで、時には暗くなり始めたら帰るまである

 そして俺は学校があるから手伝えるのは土日だけ‥‥‥


 SYシステムは常に人数ギリギリなので、終電で帰るなんてざらに有るとゆう恐ろしい会社であるが俺にとっては働ける時間が増えるのは渡りに船ってやつだ!


 父の友人には断りを入れお世話になりましたと頭を下げる

 事故が絶対起きないと言えない作業なのでホッとしたような安心したような表情で頑張れ!と言って貰えたので有難うございましたと頭を下げて憂いを無くす



 学校が終わりまず家に帰り洗濯物をたたみ夕飯の準備をし軽く食べ母さんの分にラップを掛けておく



 電車でもいいのだが節約と体力作りの為30分程かけて自転車で向かう

 そして18時

 最初の頃は掃除や飲み物とかのホントに雑用だったけど最近では事務処理やら経理やらまで…子供バイトにそこまでやらせる?までやっている

 平日は21時半まで

 一応塾帰り風を装って鞄には教科書を入れてある

 金曜日は次の日休みもあって深夜まで働き仮眠室で寝てから朝起きて帰る

 仮眠室グッジョブ

 日曜は9時から19時まで

 働きたいと思ってた俺にはなんとも素晴らしい会社である


 ちなみに土曜日は《お母さんの休日》である

 朝帰りシャワーを浴び朝食の用意をし始めると母が起きて来る

 ”いただきます”と食事を始め、食事が終われば母に部屋着に着替えて貰い洗濯・掃除をテキパキと

 その間母は何をしてるか?

 ボ―――っとテレビを見てる

 そう。その名の通りお母さんを休んで貰ってる

 昼食、夕食のリクエストを聞きスーパーへ向かう。やる事が終われば母と並んでボーっとしたりゴロゴロしたり偶には映画やショッピング等々…

 心も体もリフレッシュしてもらいたかった。やり始めの頃は罪悪感からかソワソワしながら手伝わせてとか言ってたけど慣れたみたいだ


 バイトを始めて家計に余裕が出来て来たので、日曜日。俺がバイトに行ってる間、母にはエステやスパやジムを薦めた


 入院から半年…


 うむ‥‥‥完璧美熟女が出来上がった!

 心に余裕が出来たせいか、俺が赤子の頃より若く見える…何故?

 背中まで伸び、フワリとウェーブがかかったブラウンの髪。身長160cm

 だろうか…俺が168cmだから並ぶと丁度良い感じ?出ると事は出て引っ込む所は引っ込んでてどこぞのグラビア雑誌に載ってる様な体系。しかし見た目を他所に性格はゆるポワ天然で腕を組む抱き着く等の過剰なスキンシップなのだから質が悪い、母とはいえこっちは思春期男子なんだぞ!と言いたいがそのスキンシップも嬉しく思う自分もいるので…うん、まぁ深くは考えない‥‥‥うん‥‥‥






 そんな母とのイチャラブ生活を送りつつ、アパートからすぐ近くの高校にも受かり


 もうすぐ高校生活が始まる‥‥‥はず




























































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