彼を独占したい私と縛られたくない彼
徳田雄一
第1話
中学、高校の頃から私はモテモテだった。自分で言うのも恥ずかしい話だが、容姿は最高に良いと思っている。
周りからも現役のモデルさんと間違われるくらいに綺麗だと言われる。
でも、私でも分かっている。こんな女は異性からも同性からも嫌われるって。でも今更自分を変えるだなんて出来ない。
そうやって自分を突き通してきたおかげで、中学の頃には一人、高校の頃には三人の男性と付き合えた。
でも、私は何故か付き合った男性が良いと思えずに数ヶ月で別れるということが多発した。そんなこんなで、学校内では男たらしだとか、パパ活をしているんじゃないかなど噂が耐えなかった。
私は必死に否定した。そんなことなんてしてないと。
だが誰も信じてはくれなかった。
悲しさや虚しさに打ちのめされていた時、彼が現れた。
「根も葉もないことを言うのが人間だ。気にすんなよ。君は君らしく居ればいいんだから」
たったその一言で私は彼を好きになった。窮地から救ってくれた男、男の中の男だと私は惚れ込んだ。
そして彼はクラスメイトにも「根も葉もないことを言うなよ」と言ってくれていた。
彼の言葉でクラスメイトは少しでも変わってくれるのかなって私は甘い考えを持っていた。
そんなこと有り得るわけがなかった。翌朝クラスに入れば、私を見る皆の冷たい目線が突き刺さる。今まで仲良くしていてくれた子も、何故か私に冷たく当たってきた。
「あんた近寄らないで。ちょっと顔がいいからって調子乗らないでよ」
「ちょ、調子なんて乗ってないよ!」
「ふん。ね、行こ」
他の友人とともに私の前から立ち去り、クラスメイトも落ち込む私なんか放置し、楽しそうに会話を始めていた。
これがイジメなんだなって感じた。
そんな時だった。彼はクラスメイトと談笑していたはずなのにも関わらず、クラスメイトの肩を押してまで、私の元に来ようとしていた。
クラスメイトはそれを止めていたけど、彼は少し睨みを効かせながら、私の元に来てくれた。
「お前はお前らしく居ればいいんだから。気にするなって言っただろ」
「……私に関わらない方がいいよ」
私は彼が私と関わったら無駄なイジメが増えるんじゃないかと怯えていた。だから彼を冷たく突き放そうとした時、彼は私の腕を掴みながら教室から出た。
そして学校の立ち入り禁止のはずの屋上に入り込み、私の顔を真剣に見ながら優しく言葉をくれた。
「イジメになんか負けんな。もし次にお前が虐められていたら俺が助けてやるから。お前はお前らしく居ろ」
私はそんな彼の顔に、瞳に引き寄せられた。
気づけば彼に告白してしまっていた。
「ね、ねぇ」
「ん?」
「私と付き合って……?」
「買い物?」
「そ、そうじゃなくて!」
彼は冗談を言いながらも、真剣な顔で考えてくれていた。
「……俺の好きなところ言える?」
「……こんなこと言ってもその時の感情だけだろって言われるかもしれないけど、今みたいに颯爽と駆けつけて助けてくれるところだったり、正義感に溢れるところが好き」
「そっか。そうだな。俺がお前と付き合えばお前が悲しい顔をしなくて済むもんな」
「え。それってつまり?」
「俺と付き合ってくれるか。
「……ありがと。
これが私由利香と修司の恋の始まりだった。
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