S区
この街には猫が多い。
噂には聞いていたが、越してきてびっくりした。仕事の行き帰りに転々と佇む猫々々。やっべー、たまんねー。
そんなことを話していたら、呆れ顔の
「餌はやってないぜ」
「そういう問題じゃなくてさ。猫に期待させるなってこと」
「何か喰えるかもって?」
「そう」
俺は云い返す言葉もなく黙り込んだ。見かける猫全匹を救えないなら、一匹たりとも手を出すな。草が云っているのはそういうことだ。
「だったら、お前は何なんだよ」
いつだって、誰かれ構わず助けようとするくせに。草は猫のような溜め息を吐いた。
「うるさい」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます