死んだ俺は魔術師に成る
清白瀬見
第1話プロローグ
ジリジリジリジリジリジリ
「うるさぁい!」
頭の上に置いてある時計を止める、まだ日が上がりきっておらず涼しい風が寝てる際にかいた汗にあたり肌がひんやりと感じる。
「五時か。うぅ……私今日こんなに早く設定したっけ?」
このまま二度寝してはおそらく学校に遅刻するだろうと思い身体を起こすため眠気が抜けない半目の状態で布団から出てカーテンをあけ、1階に降り顔を洗い簡易な朝ご飯を用意しようと台所に入る。
「おはよう……ってまだ起きてないか」
いつもならいの一番に朝ご飯はまだかと食卓の椅子に座って待っている同居人の姿が見えてない。おそらく寝ていると私は思った。
ご飯に味噌汁と手軽に済むものを選び食卓に置き自分が食べれる量だけよそい、ぱぱっと食べ余った味噌汁をラップに包み「朝ご飯置いときます」とだけ書き置きを残した。
「たまには学校に早くに行ってもいいかな」
寝癖でボサボサになってる髪を直し制服に着替える。普段ならこの一連の行為をするのに一時間は早いがたまにはいいだろう。
そう思いながら学校に行く用意を進めていると家の固定機の電話からうるさくさい鳴る。こんな早い時間に電話をしてくるなんてロクな奴じゃないだろうと思い電話番号を見たらロクな奴じゃなかった。
「もしもし?」
『その声は希香君か?君がこんな早くに起きるなんて珍しいこともあるもんだな』
「開口一番なんなのエセ神父。私がこんなに早くに起きたらダメなわけ?」
『そんなことはない。希香君に当主としての自覚が芽生えたのかと思っただけだ』
「余計なお世話よ。それで用は?」
『私は君ではなく同居人の方に用があったのだ。こちらの仕事に関してな』
「じゃあエセ神父から電話があったことを伝えとくわ」
『頼むぞ』
私は返事を返さず受話器を戻した。
「朝一番から嫌な気分になったわ。ったくあいつ何で私が早く起きた時に限ってこんな朝早くに電話かけてくるのよ」
そのまま既に玄関に置いてある荷物をとり学校に向かうため外に出た。
「ん~!朝早くの外の空気は美味しいわ!」
一度背伸びし意識を切り替える。いちいち気にしてたら何にも手がつかなくなる。
学校まで歩いて20分、いつもは早歩きで行くが今日はゆっくり歩いて行くことにしよう。
朝6時、散歩やランニングに出かける人達や部活の朝練に出かけてる人がチラホラと見える。どの部活にも入ってない私は用事がない限りこんなに早くに学校に向かうことはないので新鮮だ。
そして学校に着くと夏の大会に向け校庭で朝の練習をしている野球部とサッカー部など体育会系の部活が汗をかいていた。うちの高校はスポーツを推進しているだけあって夏休みにある県の代表として全国大会の出場が決まってる。
私はその隣をてくてくと通り教室へと向かう。
2年生である私の教室は二階にある。そのため階段を上がってくのだが途中でこちらを見るに嫌そうな顔をする同級生とその隣でダンボールを持っているもう一人のクラスメイトが優しげな表情をこちらに向けた。
「げっ……何で会長がこんなに早くに学校にいるんだよ」
「あらおはよう、副会長そしてカネヒロくん」
「おはよう生徒会長。珍しいなこんな早くに学校に来るだなんて」
「目覚ましがいつもより早く設定されていたのよ。それより副会長、朝練はいいのかしら?随分と余裕があるのね」
この目の前にいる茶髪の副会長こと宮崎裕介は2年でありながら他の3年を差し置いてサッカー部の副部長になった男である。会長選挙に私に負けたはもの次いで副会長になったのもひとえに人望あってのものだろう。運動もできて勉強もそこそこできて人望もある、それがこの宮崎裕介という男だ。
「夏休みにある文化祭の準備を今からするように先生から頼まれてるんだよ。こちらとて立場上早く朝練行きたいんだよ」
「そうなの。じゃあ折角だし手伝おうかしら?」
「いや、いいわ。お前に任せるとろくな事にならん。授業が始まるまで生徒会室でのほほんとしてろ。こっちはカネヒロが来てくれてんだ。すぐとは言わずともお前がおるよりもっと早く終わる」
「じゃあそうさせてもらうわ。カネヒロくんもお願いね」
カネヒロというのは私と副会長と同じクラスの生徒である。何故かいつも副会長と一緒におり生徒会の業務を何回か一緒に行ったことがある。そして度々貧血になっては保健室に行きになってる奴だ。
「へいへい」
私は教室に向かわず副会長の言う通り生徒会室に向かった。
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温度が上昇し日が頭の上をちょうど通るつまり正午の昼休み、私は教室での授業を終え教室を出て生徒会室で昼ご飯を食べていた。
「会長、いつもなら副会長と兼宙さんが来る時間帯だけど来ないですね?」
「副会長は体育の授業でゴールポストに頭をあてて怪我をしたという名目で保健室で寝てるわ。今頃ケガと関係なくぐっすり寝てると思うわ。カネヒロくんは普通に早退したわ」
私の目の前にいる生徒会の書記であるエマさんはいつもここに来るメンバーのことをしつつエアコンの吹く風をダイレクトに食らう場所で昼ご飯を食べてた。
「そうなんですか。まあいつもより広くてエアコンの風が通りやすくなって涼しいので良いですね」
「そうね。でもエマさん直接風を受ける場所で食べてたらいくらあなたでも風邪ひくわよ?」
「大丈夫ですよ!私風邪ひいたことないんで!」
「そういう事じゃなくてね……」
話しが微妙に食い違ってる状況に頭がハテナになるが、いつもの事だしこの状況も慣れると楽しいものだ。
「そういえば会長。最近この町で行方不明者が沢山出てるらしいですね」
「……巷では神隠しじゃないかとも言われてるわね。なにせ30人以上が1週間っていう短期間で町から消えればそう思いたくもなるわ」
「会長も日が上がってるうちに帰るようにしましょうね!」
「はいはい、わかったわ」
雑談をしつつ生徒会の仕事をしていたらあっという間に時が過ぎ昼休みが終わる5分前になったので私とエマさんは自分の教室に帰ることにした。
その後昼からは特に何も無かったので割愛させてもらおう。
画して一日は終わり一学期終業式である明日へと向かうのであった。
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