優美なキス
「
颯茄が最初に結婚した旦那の彼だけは、呼び捨てで彼女は呼ぶ。パソコンの画面が立ち並ぶデスクから、鈍い動きで蓮は振り返った。
「何だ?」
颯茄は走り寄る。
「あのね。蓮と光さんとのキスシーンを歌にしてみたんだけど……」
何か反応でも返ってくるかと思えば、
「ふーん」
感情のこもっていない返事だった。
颯茄は己を奮い立たせ、
「曲できたから聴く?」
「ん」
最低限の言葉を合図に、颯茄は携帯電話の再生ボタンを押した。いきなりの歌声が部屋ににじみ始める
『優美なキス』
触れて 優美な海に落ちる
優しく 甘く 心が波立つ
触れたくてしかたなかった
唇が今そこにある
あんなに触れてはいけないと
戒め諦めてたのに
西日が入る部屋で
レースのカーテン越しにお前を見つめ
強く抱き寄せた
触れて 優美な海に落ちる
優しく 甘く 心が波立つ
すれ違って恋に落ちた
首筋を軽く噛んで
お前の匂いに包まれて
甘美な感情があふれる
一番星が見てる
窓辺に二人で立って 服が落ちてく
そっと抱きしめた
触れて 優美な雲に浮かぶ
はかなく 強く 心が震える
男の肌を
滑るように 唇が吸い寄せられる
触れて 優美な雲に浮かぶ
はかなく 強く 心が震える
触れて 優美な海に落ちる
優しく 甘く 心が波立つ
楽曲のリンク
https://youtu.be/UjeLNQDevao
ゆったりとした曲が終わると、颯茄は身を乗り出した。
「どうだった?」
「…………」
無邪気な子供が新しいことができた時みたいな笑顔を蓮はしていた。
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