帰国子女
@19141974
第1話 はじめに
東京銀座に「銀座道り」と云うのがある。この「銀座道り」と交差する形で「晴海道り」と云うのがある。この「晴海道り」に平行して「松屋道り」と云うのがある。この「松屋道り」に面して二つの地味なビルが隣接して立っている。この二つのビルとは『教文館』と『聖書館』。「松屋道り」をはさんで真向かいにこれとは対照的な「Apple銀座」がある。
この古風な佇まいの二つのビルは本書に登場する人物と関係の深い建物なので最初に紹介させて頂く。
東京銀座4丁目に『教文館』と『聖書館』が竣工したのが1933(昭和8)年9月。 『教文館』1階と地下でレストラン『富士アイス』が営業を開始。永井荷風の日記『断腸亭日乗』に『不二アイス屋』の名が最初に登場するのが1933(昭和8)年11月25日。当時日本に一時帰国中の藤田嗣治が『聖書館』1階にあった「ブラジルコ-ヒ-宣伝室」に幅8メ-トル高さ3.6メ-トルの壁画『大地』を制作したのが1934(昭和9)年9月。
最近NHK教育テレビで興味深い番組を観た。ETV特集『辞書を編む人たち』と題するもの。
「無人島に一冊だけ本を持っていくとしたら?」
この問いに多く人がある本を選ぶ。『辞書』である。
こう言うナレ-ションで始まる日本語の辞書編纂に携わる人々に関する興味深い番組であった。
この同じ問いに欧米人を始め世界の他の多くの人々は何と答えるであろうか。
彼らの多くがある本を選ぶ。『聖書』である。
作家永井荷風はかつてこう述べている。「文学者にならうとおもったら大学などに入る必要はない。鴎外全集と辞書の『言海』とを毎日時間をきめて三四年繰り返して読めばいいと思って居ります。」
作家太宰治はかつてこう述べている。「小説家は、『聖書』と鴎外全集があれば充分だ。」
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