詩「お金の詩」
有原野分
お金の詩
月末になる度に
同棲している彼女とケンカをする
末日の支払い
金
かね
KANE
カ
ネ
不思議だ
いくら働いても
いくら節約しても
決して増えずに
減っていく
心の余裕もすり減って
そんな馬鹿なと思いながら
それでも身のない財布を眺めていると
夜中の尿意で目が覚めるような
情けない涙があふれてくる
「もうお金でケンカをするのは辞めよ
う」
ああ 本当に
もっとあればいいのに
国の偉い人たちが
もっとたくさん印刷してくれないかな
こんなに頑張っているんだもん
ぼくは徹夜して原稿をこしらえて
彼女は朝早くからお弁当を作って
二人とも必死で生きているんだから
紙代ぐらいもちろん払うさ
その専用の機械で刷った紙切れを
月に百枚ぐらいくれやしないだろうか
いやほんとに
そうすれば少なくとも
月末のケンカはなくなるし
心の余裕は生まれるし
少子化だって
犯罪だって
戦争だって
金
すべてはその紙切れ次第なのに
詩「お金の詩」 有原野分 @yujiarihara
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