うねり
髪を切りたいと言いながら、もう3ヶ月くらい放置している。
ボブだったのに、後ろで縛れるくらいに伸びてしまった。巻いてアレンジするか、ヘアアイロンで「親の仇…」みたいな伸ばし方をしないと駄目な感じになってきている。
恵まれているのかいないのか、私は髪は張りがあり量も多めだ。と当たり障りのない書き方をしましたが、おそらく剛毛の部類に入るのだと思う。
それを踏まえると、出来る髪型が自ずと限られてくるのです。
ティーンズの頃はそれこそ芸能人なんかの髪型に憧れて、雑誌などを持参して美容室へゆき、「この髪型にしてください」方式を幾度か試みたことがある。
そうしてある時、すべての間違いに気がつくのである。
まず顔立ちが違う。顔の形が違う。髪質も違えば量も違う。
素材が何ひとつ揃わないのに、完成度が増すわけもない。
そうして紆余曲折を繰り返し、大人になってからはボブ・セミロング界隈でうろうろと彷徨っている。
長いと重たい。切りたい。しかしショートカットに出来る髪質でもなく、ましてや可愛らしいニュアンスの髪型が似合う顔立ちでもない。
長年お願いしている美容師からは前髪を禁止され、いつでも私は変わり映えのしないワンレングスのボブかロングでしかない。
しかしここに来て、分岐点が現れた。
それは加齢である。
加齢によって顔立ちがいささか変わり、「若づくりをする」という名目のもとでワンレングスから脱出出来るのではないか。もとい、頑なに前髪を許さない担当を説得出来るのではないか。
そんな気がしている。
冬が来る前には、いくらなんだって髪を切りたい。
秋の終わりのつよい風で髪を乱しながら、ぼんやりとそんな算段をしているのである。
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