私が好きなのは君の音
モチ
1
ピピピピ ピピピピ ピピピピ
20××年10月13日
私、四ツ
そこから寒さのあまり布団に五分ほどくるまり、母親に1階にあるリビングから声をかけられてようやく重い体を起こす。
手早くかけてある制服に着替えて下に降りる。
リビン付につくとお母さんが私の朝ごはんとお弁当を用意していてくれた。
「おはよう、お母さん。」
「おはよう、聖来。」
リビングを見渡すとお父さんの姿はない。
「お父さん、もう出張行った?」
「ええ、聖来が寝てる間に行ったわよ。今回は長崎だって。」
「へぇー。」
私の父はいわゆる出張マンで良くいろいろな所に出張に行っている。寂しいと思う時もあるけど、お土産買ってきてくれるし帰ってきた時には勉強とか見てくれる自慢のお父さんだ。
「まぁ、そんなことより早く食べちゃいなさい。遅刻するわよ。」
「はーい。いただきます。」
ちょうど朝ごはんを食べ終わるタイミングでインターホンが鳴る。
「誰かしら?」
はーいとお母さんがインターホンの画面を確認しに行く。しばらくしてなんトーンか上がったお母さんの声が聞こえてきた。
「聖来ー!咲良ちゃんが来たわよー!」
「早くない!?」
時計を見ると既に7時30分
ゆっくりご飯を食べてる間にこんなにも時間が!
「ごめん!今行く!」
家の外にいるであろう友に声をかける。
急いで食器を流し台において洗面台に駆け込む。
身支度を整えたあとに前日に準備していたカバンにお弁当を入れて玄関に行き扉に手をかける。
「じゃあ、行ってきます!」
そう言って扉を開けた。
扉を開けると友達の
「おはよー!ごめん、おまたせー!」
「おはよ、聖来。」
ゆるくカールのついた髪にポニーテールの彼女は私とは違いThe女の子って感じの子だ。
咲良は高校生活で初めて出来た友達だ。校内で迷っていたのがきっかけ。
「さ、早く行こ!」
そこから、私達は他愛もない話をしながらいつも通りの道を歩いた。
私の家から約30分。電車と徒歩を駆使してようやくたどり着いたのが
私達はそこの2年4組だ。
教室の前について扉を開ける。
クラスメイトにおはようと声をかけながら私の席がある窓際の席に向かう。ちなみに咲良は私の斜め前の席。
「ていうか、聖来。いいの?10分まででしょ?許可書。」
よっこいしょとカバンを机においた私に咲良が言う。
!?時計を見る。8時4分.....
あぁ、神よ。なぜ今日私はこんなに時間に追われているのか。
突然だが、私は小さい頃からピアノをやっている。きっかけは忘れたけど物心つく頃には家にピアノがあってとにかくやっていた。誰かと一緒にやっていた気もするけれど、多分親だろう。そして、私は今もピアノを続けている。私達の学校は申請すれば、放課後に音楽室やら家庭科室やらを借りることができる。
最近は12月にある冬季コンクールに向けて練習中だ。そのためには防音である音楽室はまさに必需品。家でも弾けるけれど少し小さめの音で弾かないといけないから練習にはあまり向いていない。
「ありがとう!ちょっと行ってくる!」
そう咲良に言って私は勢いよく教室を飛び出して職員室へ走った。
「し、失礼します!2年4組の四ツ橋です!許可書ってまだ大丈夫ですか?」
息を切らしながら私は職員室に叫ぶように言った。
なんで、うちのクラスが1番職員室から遠いわけー!
私の声を聞いて机に座っていた私達のクラスの担任の中林先生が許可書の紙を持ってきながら歩いてくる。
「はい、これ許可書な。もうちょっと早く来ようか、四ツ橋。」
呆れたようにボールペンと紙を差し出し近くの机で書くように促す。
「すみません、ゆっくりご飯食べすぎました。」
「そうか、そうか、素直でよろしい。」
と、先生がなんたらかんたら言っている間に慣れた手付きで欄に名前・組・借りたい所・その理由を書き込む。
「はい、先生。出来ました。よろしくおねがいします。」
書いた紙を先生に渡す。先生は了解と言ってまた自分の席に戻って行ったので私も教室に戻ることにした。と言っても、あと5分で朝のHR始まるんだけどね。
私はまた走った。
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