第28話 暴露されちゃったよ
「アイラ…。そりゃ確かに私の独断なんだけど。反対はしなかった…と思うのは早計だったか?納得したと…」
シャトナー伯から送られてきた、あるカモフラージュされた手紙。
直筆の
『この街を動くつもりはありません。お兄様には、私の事はほっといていただく様、何度も伝えましたよね』
要約も何も、ガチでこのまんまの文。
ヤバいな。
『
「まぁ、思ったら即実行!ってね。少なくとも、これが最善の策と思ったんだよ」
『ジャン叔父様まで巻き込んで。シャトナー伯爵様も動いているじゃないですか。こんな大事』
王都の学園寮にいるリディアが水晶球に写っている。流石に此処に至っては彼女にも相談するしかない。父上に極秘にしなくてはならないのが結構痛い。
『で、どちらを立てるおつもりですの?お兄様。今更ジャン叔父様に出来ないとは言えないでしょうし、かと言ってアイラが素直に聞く筈がありませんし』
こうなっては多分、アイラは自分が直接動く。
しかも、彼女の実力行使を止められる者等現時点で存在しない。
『聖獣使い』。
アイラの従魔は4聖神獣の内の3体。
『私はどのみち動けませんわ、お兄様。先ずはアイラとコンタクトを』
「アイラと?ジャン叔父上ではなくて?」
『アイラが直接動く事が1番不味い事態ですわ』
それもそうだ。
あの子が表に出る事だけは避けないと。
そこへ飛び込んでくる知らせ。
ダッカード侯爵家の横槍⁉︎
「どういう事だ?」
「侯爵が王宮に抗議を。おそらく自身の裏での動きに正当性を持たせざるを得なくなったのかと思われます」
伝えてきたのは私直属の影。
以前、侯爵はアイラの拉致を画策しシャトナー伯領のヒガンザタンサラスで配下を暗躍させた。
アイラ自身に撃退され、秘密裏にシャトナー伯からも抗議した事態。表沙汰にならない様シャトナー伯も我々も動いた筈だったのだけど。
王家以下高位貴族には筒抜けだったらしい。
『聖獣使い』の存在の信憑性に箔を付ける結果となったこの件は、スチュワート辺境伯とシャトナー伯とのまさかの連合の噂も重なり貴族中に波紋の様に拡がって、この機を逃さずダッカード侯爵はスチュワート辺境伯に「派閥への裏切行為」と言い出したのだと。
『国王派』。
つまり派閥のトップは王自身。
公爵家の一門たるスチュワート辺境伯が他派閥の筈がなく、それが貴族派の重鎮で武と財を支えるシャトナー伯と結びつこうとするのは派閥の鞍替えにも等しい裏切りだ。
それがダッカード侯爵家の言い分。
そして、その根拠として『聖獣使い』アイラ=サイモンの存在を暴露、両者が彼女の力を使い結託して王国に仇為すと主張している。
『お兄様!』
「まさかこんな形で暴露されるなんて。やってくれたな、ダッカード侯爵。が、最悪だ。アイラの力が王家にも確認されてしまった」
しかも父上は、サイモン公爵家は彼女の死亡を届け出ている。これでは公爵家がアイラを秘匿したと思われても言い訳出来ない。
「父上は今王都だ。そっちで」
『今、荒れ狂った声が聞こえてきましたわ、お兄様。おそらく王宮で陛下に詰問されたのでは』
「お前は知らぬ存ぜぬを貫き通せ。全ては私が対応する。直ぐに王都に出向く」
で、影を指すと。
「事の次第だけアイラに伝えてくれ。私が何とかする。アイラは存在を隠し引き篭もって欲しいって伝えるんだ」
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ガォオオーン『やるよ、アイラ』
クヮアー『我等は頭にきている』
ピィー『止めないでよ、アイラ』
「止めるよ、私の願いはひっそりと暮らす事なんだよ」
うわーん、サヨナラ、私のスローライフ。
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