デートっぽい雰囲気

 あれから、何だかんだ二時間ほどEOでペアプレイをした。充実した“狩り”をして高レベルのアンデッドモンスターを薙ぎ倒し、俺は『Lv.60』にアップ。

 ついに剣士から二次職の『ダークナイト』へ転職を果たした。


「ついに転職できたぁ」

「おめでとう、くっしー! 強力な闇属性スキルとか使えるし、ダークナイトは闇属性耐性かなりあって、新ダンジョンも適正だから行けるかもね」


 ハイタッチをして喜びを分かち合った。誰かとゲームをするってこんなに楽しかったんだ。初めて知った。俺は子供の頃からソロゲーマーだったから、これは新鮮だ。


「おう、もうちょいレベル上げて、スキルレベルも上げないとなあ」

「うんうん。とりあえず今日はここまでにしよっか。続きは家でも出来るし」

「あー、そうだな。おっと、もうこんな時間か」


 気づけば十五時過ぎ。

 すっかりゲームに夢中になっていた。

 少し小腹も空いたな。


 こんな時は『あんパン』だ。


 俺はパンを半分にして、袋の方を清瑞に差し出した。


「え、くれるの?」

「腹、減ったろ」

「うん、ありがとね」


 冷静になって見ると、俺はずっと清瑞とゲームして楽しんで……一緒にあんパンまで食べていた。ギャルってこんなに優しいんだな。


 清瑞に限らず、ギャルって怖いんだろうなという偏見を持っていたが、改める必要があるな。少なくとも、清瑞は美人で優しくて、ゲーム好きという良い性格をしている。こんな良い子なら……彼女にしたいなあと俺は思った。



 でも、告白する勇気もないので今は“ゲームフレンド”で十分だ。



 ◆



 清瑞の提案で街の方へ向かい『モンキーホーテ』へ入った。


「へぇ、来たことないけど色々あるんだな」

「くっしーって、モンキーは利用しないだ」

「俺みたいな陰属性のヤツは入店さえ躊躇ためらってしまうよ」


 今は清瑞がいるから入れるが、ひとりなら厳しいかもしれない。


「あははっ。モンキーって大型のディスカウントショップだよ。服とか鞄、電化製品や雑貨類、食品や日用品が売っているんだよ。便利なんだから~」


「え、そうなのか。俺はてっきり不良の溜まり場かと」

「あー、そういう人の利用は多いかもね。お店の前とかよくたむろっているし」


 そのイメージが強かったのだが、どうやら普通のショッピングモールのような雰囲気らしいな。なるほど、俺の脳内イメージが先行しすぎたな。悪いクセだから直さないと。


 それにしても賑やかだな。外国人のお客さんも多いような気がする。てか、種類が豊富で価格も良心的。こんなに安いのか。


「これは見応えがあるなあ」

「でしょー。一緒に見て回ろう」


 こんな砕けた笑顔を向けられて断れるヤツ、いない。俺は無条件で承諾した。ウィンドウショッピングも面白いかもな。良品があれば買っていこうっと。

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