授業サボってギャルとゲーム
屋上を去り、俺はそのまま二年の廊下まで連れて行かれた。このまま教室へ戻るのだろうか。俺は出来れば
ずっと前を向いていた清瑞が俺の腕を離し、こんな提案をした。
「サボっちゃおっか」
「え……」
「授業なんて退屈だし、外で遊ぶ方が楽しいよ」
「でもいいの? 俺はともかく、清瑞さんは成績とか」
「いや~、それがあたしは問題ないっていうか、気にしなくて大丈夫だよ」
それはヤバイのか平気なのか……どっちのかイマイチ分からないけど、でも、清瑞が良いというのならサボろうかな。
「清瑞さんが良いなら」
「じゃあ、決まりねっ」
再び右腕を掴まれ、俺は連行されていく。よく引っ張られるなぁ~。
◆
学校を出て徒歩で近くの河川敷へ。
まだ昼だから穏やかな気候で風が気持ちい。こんな春日和を清瑞と一緒に歩けるだなんて……今日の俺の運勢はどうなっているんだろうな。
「そこ座ろう」
「お、おう」
清瑞はスカートを上品に押さえ、堤防に腰掛けた。俺は少し離れた場所に座ったのだが、清瑞の方が近くに寄ってきた。……ち、近ッ。
「一緒にEOの続きやろうよ。パーティ組んで最新アプデの『不死王の古城』を攻略しない?」
昨日、アップデートされて実装されたばかりの新ダンジョンだ。超高難易度を誇り、やり込んでいる廃人プレイヤーですら嘆いている状態だ。出現するモンスターがあまりに強いせいか、ダンジョン内は
おかげでリアルタイムに掲示板で大炎上中。ネットニュースでも話題沸騰中だった。
「さすがにペアでもキツイと思うぞ」
「だよねー。もうちょっとレベル上げてからにしようか」
はぁ~と溜息を吐く清瑞。
ここにも嘆いているヤツがいた。
俺なんて推奨レベルにすら届いていないから、行ったとしても即死だろうな。その場合のデスペナを考えるとゾッとする。
「ゲームはともかく、清瑞……ひとつ聞きたい」
「ん、なぁに?」
「どうして俺なんかに構ってくれるんだ。メリットないだろ」
「くっしーに興味があるからだよ」
「でもなぁ……絶対変な目で見られると思うぞ。さっきの小石? アイツの方が良かったんじゃないか」
「ああいう金に物を言わせるようなタイプは嫌い。ゲームの方が好き。だから一緒のゲームをやってるくっしーが一番」
俺はちょっと清瑞を疑い過ぎていたかもしれない。彼女は純粋に俺と遊びたいだけなんだ。そうだな、俺も清瑞と遊ぶのは楽しい。EOだって一緒にやりたい。
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