推しVtuberが実はヤンデレ美少女元カノで復縁するためになんでもしてくる──
神月
プロローグ
「はぁ〜やっぱりVtuberを見ているととても癒される…」
一年前、
別れた原因は、俺としては1割ぐらいは俺が悪くて9割ぐらいは露那が悪いと思っている。
「……」
恋人が別れる原因のほとんどを相手に押し付けるのはどうかと自分でも思うが、あのことについてはどう考えてもそうとしか結論づけることができない。
まず恋人になって直後、SNSに繋がる機器全てが取り上げられた。
今の時代、ほとんどのものがSNSに繋がるため、スマホ、パソコン、ゲーム機なんかも全て取り上げられてしまう。
残念なことに当時の俺には恋愛経験というものが一切なかったため、それを当たり前だと思ってしまっていた。
しかも露那は同級生の中でも脚光の的、高嶺の花、優等生という三拍子を兼ね備えていたため、俺は露那が言うのならというバイアスにかけられてしまっていたのかもしれない。
でもその後も、それ以上に……
「…やめよう」
気分が悪くなってきた…
嫌なことを無理に思い出す必要はないよな。
話は戻るが本当にVtuberというものは素晴らしい。
SNS機器を全て取り上げられた俺だが、姉さんに相談するとスマホとパソコンとゲームはほどほどにと言う約束で俺に買ってくれた。
本当にありがたい。
おかげで俺はVtuberという素晴らしいものに出会うことができた。
リアルでは女子と話す気が起きない俺でも、このようにアニメのようなアバターで喋ってくれていると、リアルな女子という感覚が薄まる。
つまり2.5次元…!
リアルでないのなら安心して見ることができる。
だが、Vtuberと言っても今の時代、5桁を超える人数がVtuberとして活動をしている。
そんな中で最近俺が特に推してるのが…
「こんにちはー!今日も運命の人に見つけてもらうために配信を始めたいと思いますー!!」
ちょっと不思議な挨拶だが、しっかりとゲームも上手くトーク力も高いVtuber…
しかも優那ちゃんは、ちょうど俺と露那が別れた時期…一年前、正確には4ヶ月ほど前からデビューしているため、そこに少し優那ちゃんの挨拶じゃないけど運命を感じた。
アバターは白髪ロングの元気そうな顔。
もちろんそんなのはアバターでしかないけど…それでも今の俺には十分すぎるほど癒しになっている。
「今日はー!恋愛相談を受け付けて回答していきたいと思いまーす!!」
恋愛相談か…俺は恋愛相談に限らずだが、基本的にはコメントしない。
もちろん1人でもコメントをすればより盛り上がるのはわかってるが、それでも1人は1人と考えてしまうほど、俺の視野が狭いからだ。
…とは言っても実際、今は配信が始まったばかりなのにもう4000人ほどの人数が集まっている、俺がコメントしなくても大差はないだろう。
「えーっと…あっ!これにしよっかな!」
そう言って優那ちゃんが読み上げた相談の内容は…
「ちょっと前に彼氏ができました、その彼氏はちょっと優柔不断で、他の女の子に取られちゃわないか心配です、優那ちゃんならどうしますか?」
という質問だった。
…やっぱり誰でも恋愛を始めてしまうとそういうことで不安になったりするんだろう。
それに対する優那ちゃんの返答が…
「ものすごくわかるよ〜!私の彼もそんな感じなんだけど〜」
わかるのか…一応優那ちゃんはリアルで恋人がいることを予め宣言している。
きっと後から変に露呈してスキャンダルになるのを避けるためだろう。
そのため、コメント欄の人たちも特に優那ちゃんのその言動に反応はしなかった。
「浮気しちゃわないか心配で、軽く色々対策したんだけど…そうしたらその彼に「こんな束縛はキツすぎる!」って怒られちゃって、今実はちょっと喧嘩中なんだ〜、本当に全然そんなキツいなんて言われることしてないんだよ〜?」
コメント欄では「優那ちゃんでもそんなことあるんだ」とか「そんな彼氏別れたほうがいいよ」などというコメントで溢れている。
俺も実際にそう思っている。
それは後者の方ではなく、前者の方だ。
こんな完璧な優那ちゃんでもそんなことあるんだな…まぁ俺も露那に束縛されまくったから束縛されるのが嫌な彼氏の気持ちはとても良くわかる。
…でも、そうか。
優那ちゃんみたいな完璧に見える女の子でも不安になって彼氏を束縛するなんてことがあるなら、露那が束縛してきたのも仕方ないことなのかもしれないな。
「あっ、彼の悪口書いたら容赦無くブロックするからね〜」
声音はいつものままなものの、そこからは少しだけいつもとは違うものを感じた。
…束縛はしてしまっても彼氏への愛は本物らしい。
優那ちゃんがそう言うと、コメント欄からはすぐにその彼氏に対する悪口などはなくなった。
「じゃあ次の相談〜」
そんな感じで、今日の那優ちゃんの恋愛相談配信は終わった。
…特に恋愛相談自体には興味があるわけじゃなかったが、優那ちゃん自体が推しなため、問題なく癒されながら見ることができた。
「っ…もうこんな時間か」
配信は夜20時から始まって、今はもう23時だ。
『♪』
スマホから唐突に端的な効果音が流れる。
「…こんな時間に…?」
俺はこんな夜遅くに誰からのメールなのかと思いそのメール相手を確認してみると…
『露那』
「っ…!?」
露那…!?露那だって…!?
俺はもう一度画面を二度見するも、そこに表示される名前は変わらない。
「な、なんで露那から…!?」
新しいスマホになってから連絡先も変えてから露那とは会ってない、つまり露那にはメールアドレスを教えてないのになんで俺にメールを送ることができるんだ…?
「……」
別れたはずの綺麗で頭も良い元カノからのメール…そのメールに、俺の手は─────震えていた。
それは当然、嬉しさではなく恐怖からくるものだった。
「メ、メールぐらい返さないと、現実で何をされるかわからない…」
俺はゆっくりとメール画面を開き、送られてきた文章をじっくりと、一文字も漏らさないようにと意識しながら読む。
『ねぇ…そろそろ機嫌治してくれないかな?私だって今は反省してるから…お願い、早く
「っ…」
実際俺が別れを告げた際も露那は本当に泣いていたため、この言葉もあながち嘘じゃないのかもしれない。
でも…
『悪いけど…俺の考えは変わらない』
俺はそう端的に返し、すぐにスマホの画面を閉じた。
…変に希望を持たせるよりも、こうして端的に返す方がずっと善良だろう。
それに、露那なら俺なんかよりも良い人巡り会える。
露那のためにも、徹底するんだ、俺…
『♪』
俺はその後すぐに鳴り響いた通知音を無視し、お風呂に入って歯を磨いてからすぐに眠ることにした。
◇
甘々で激重な大物美少女たちが、俺を養いたいと言いながら過激に迫ってくる件────という最新作を公開させていただきました!
ご興味をお持ちいただけた方は、そちらの物語も併せてお読みいただけると幸いです!
↓作品URL
https://kakuyomu.jp/works/16818093089472865717/episodes/16818093089472888773
◇
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