第13話 吾輩たちはあの電気ネズミの名前をよく知らない  3


 

 「ピッカピカ〜!」


 電撃をあちこちに撒き散らし、俺の行動を制限して妨害するこの電気ネズミは、嘲笑うかの様に遠慮なく俺と併走してくる。


 ただ、残酷なことに俺も無限に走れる訳では無い。


 いつか来る限界に、止まったら殺されるという恐怖感との葛藤で、発狂してしまいそうだ。


 ふと、思いつく。


 この局面での突破口。


 セレナから預けられていた荷物に入ってた物、そう……



 「うぉー! ホイホイだニャン! あれさえあればこの逃走劇を終わらせることが出来るニャン!」


 ただ、逃げ回り過ぎて壁際に置いた荷物の場所から遠く離れてしまっている。


 なんとか走り抜き、ホイホイを入手しなければならない。


 「保ってくれよ、吾輩の体ニャーン!」


 壁際の奥までの一騎駆ラッシュ、俺は残っている体力の全てを出し切るつもりで行動に出た。


 「行くぞぉ! 松風ニャーン!」


 その速さ、手加減はしているのであろうが慢心している電気ネズミを軽快に抜きさり、荷物を奪取した。


 「取ったニャーン! 覚悟しろよこの電気ネズミにゃん!」


 両前足でホイホイを掴み取り、電気ネズミを待ち受ける。


 「ピッカ〜!」


 走りに夢中で、ブレーキがかけられない電気ネズミは、そのままホイホイへと衝突した。


 身動きが取れないのか、体をバタバタさせている。


 電気ネズミの行動を封じることに成功した。


 「反撃開始だニャーン!」



 

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