第6話 猫に小判を 2


 吾輩は猫である。


 ただいま、金の稼ぎ方を模索している最中なのである。


 「むぅ…… どうするかニャン、全く思いつかないニャン」


 引きこもりニート孤独死野郎が、そう簡単に金を稼げる訳もなく時間だけがすぎていく。


 ある一つの可能性。


 俺が人の為に何を出来るかだ。


 「セレナ、吾輩は出かけるニャン 夕方には戻るニャン!」


 「余り遠くには行かないでね!」


 「任せるニャン!」


 そういい残し俺は、セレナの家から飛び出した。


 


 おばあちゃんを見送った後以来の街の空気は、新鮮だ。


 恐ろしいぐらいのつぶらな瞳で街の人々は、俺に睨みを効かせて殺気を放つ。


 なんで可愛いのでしょう。


 足の震えが止まりません。


 街中の路地に入ると、小さな女の子がわーわーと泣きじゃくっていた。


 「何だ? 迷子かニャン?」


 恐る恐る声を掛けたちっぽけな黒猫。


 すると、少女の涙が少し引いてきた。


 「何で黒猫さん喋れるの?」


 「ニャンだかんだど聞かれたら〜って知らないかニャン まぁ、一発芸とでも思ってくれれば嬉しいかニャン」


 不思議そうに、いやゴキブリを見たときに近いだろうか。


 愚別の目を一瞬光らせたが少女は、すっかり落ち着きを取り戻した。


 「ママとハグれたのよ ここが何処かも分からないわ」


 「そうかニャン だったらママを見つけるまで吾輩と散歩するかニャン?」


 「そ、そ、そ、そうね! 散歩してやっても良いわよ! 貴方も暇なのでしょ?」


 上から目線で少しイラついたが、吾輩はこの少女としばらく同行することにした。



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