第3話 技を編み出したニャン
吾輩は猫である。
技を編み出す為に修行中である。
因縁でもある鳥ぐらいには勝てるようになりたいと強く願いながら、後ろ足で立ち上がり前足を右に左にと猫パンチを繰り出す毎日である。
「黒猫さん? 大丈夫? ここ最近、毎日猫パンチを出してるけど嫌なことでもあった?」
セレナが俺の華麗な身体捌きを決して褒める訳でもなく、というか心配そうに見つめてきた。
まぁ、俺はよく怪我するし?
石投げられるし?
鳥にすら勝てないわけで?
まぁ、そんなこんなで過保護にならざるを得ないのであろう。
「吾輩は強くなりたいのニャン! 修行してる最中だから心配しなくてもいいニャン」
「まぁ! でもあまり思い詰めたらだめよ? 私の家族何だから何かあれば私が守るわよ!」
それは黒猫として、雄として悲しくもある。
頼むから哀れまないでくれ! と願う黒猫であった。
ふと、昔の漫画を思い出した。
拳法の伝承者だったと思うのだが、あの百連撃はたまらなくカッコよかったと子供の頃感動したものだ。
「吾輩も真似してみるかニャン」
思いたった俺は、ごっこ遊びの延長線上で真似を試みた。
「うぉぉぉぉ!」
気合い十分。
服なんか元から着てないから破け散った妄想をした。
「黒猫神拳奥義! ニャンと肉烈拳! ニャニャニャニャニャニャニャニャニャニャニャー!」
前足が無数に伸びる。
ブンブンと音がなる。
その肉球から放たれる剛拳は、今ならあの因縁の鳥さえ倒せそうだ。
「これニャン これならあの鳥を倒せるニャン!」
戦線布告してやろう。
覚悟しろよ、この鳥野郎!
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