第16話

その先に待っていたボスは―


爪、牙、皮膚にいたるまで他の魔物とは一線を画す魔物、ドラゴンだった。


そして、ドラゴンに対して立ち向うのは少女、しかし少女も普通では無い、強力なスキルを持つ勇者である。


ゆえに―空の王者たるドラゴンを少女が吹き飛ばしたとしても、なんら不思議は無い。


強力な一撃を喰らわせたものの、ドラゴンも馬鹿ではない、油断は無くなり、少女を確実に殺す動きを始める。


少女は、いくら強大な力を持ち、勇者となっても、元々は戦いとは無縁な高校生である、そのせいで

圧倒的に経験が足りない。


経験が足りないとどうなるか…簡単だ、身体能力が互角だとしても、実力に差が生まれる。


その経験の差を埋められる程のスキルやステータスは少女には無い、唯一の強みである冷静さも、今は無い。


だから、追い詰めれ、ボロボロになる、そうなれば

彼が介入してくる。


彼は強い、なにせ少女が苦戦していたドラゴンの首を両断している。


だから、少女は悲しむ、彼が活躍するたび、自分の存在は必要ないような気がして。


ーーー


「ドラゴンに茜がボロボロにされて行くのを見て、最高に腹が立ったからだ。」


怒りが収まらなかったから茜に何故怒っているのかを聞かれたからこう答えたら泣かれた。


そのあと、自分は必要か?と聞かれた、必要だと

答えた。


そしたら笑ってくれた、いやー機嫌を直してくれて良かったわ…


本当に良かった…


茜視点ーーー


ドラゴン…倒せなかったッス…

でも、先輩は私の事を必要って言ってくれたッス。


だから、今度こそ、私は先輩の隣に相応しい人に…

いや!こんな弱気じゃだめッス!


「先輩!私強くなりたいッス!」

「は?強く?十分強いじゃん。」

「もっと強くなりたいんスよ!なので先輩!師匠になって下さいッス!」

「まぁ…良いよ、だからまずはこのダンジョン全クリしよっか。」


やったッス!じゃあ早速戦うッス!

ザコ戦位は役立つッスよ!


ーーー

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