女騎士と恋仲になってイチャイチャした日常を送りたい短編集
ヒダカカケル
第1話 女騎士に昨晩の事を思い出させて赤面させたい
穏やかにそよぐカーテン、聴こえる
それと香ってくる、甘く、それでいてぴんしゃんとした香水の匂い。
「おい、いいかげんに起きないか。……全く、だらしないな、キミは」
聴こえてくる、よく通る溌溂とした声。
低くも張りのある、凛とした声はまるで翻る旗と鳴り響く甲冑の音のように、自然と背筋を伸ばさせるようで。
薄目を開ければ、ぼやけた視界の中にさえ輝く金髪がたなびき、差す朝日に透けています。
だというのに“彼女”が着るだけで、その輝きはまるで違って見えるのだから不思議なもので。
「聞いているのか? 起きろ、起きないか。いつまでそうしているんだ? 茶を淹れてやるから、少なくとも起き上がれ」
彼女の名は、ともに轡を並べる騎士団の一人にして、そして――――浅からぬ仲の、大切な存在。
騎士、フラン=ノエル。
その後に続くはずだった家名は、彼女自身あまり高々と名乗らなくなって久しくて。
もはや二人でいるときは、名前すら呼ばない事も多く、それで充分通じ合えるのです。
だからつい、意地悪までも、口をつきます。
“――――寝かせてくれないからだろうが。昨晩あんなに甘えて抱きついてきたのは誰だ”
そう言うと――――フラン=ノエルの色素の薄い肌は燃えるように紅潮し、耳までも火がともったように染まる。
「な、お、おまっ……え……! ふざけるな、何をしゃあしゃあと! 私こそ何度も制止したのに、あ、あんな辱めを……や、やめて、と……何度も……!」
赤面しながらわなわなと震え、やがて。
「もういい、私は先に行く! 遅れたいなら好きにしろ、この
そう吐き捨てるようにぶつけると、靴音も高く彼女は去っていき。
残された部屋の中、気付けば窓辺にいた小鳥がなぐさめるように、もしくは野次馬でもするように――――ちちち、と
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