第13話

あれから少し経った5月の中旬くらいの頃、また叶音さんが体調を崩して2、3週間入院することになった。


僕たちもその間放課後にお見舞い行くのが習慣になっていた。毎日お土産を持っていくことも出来なかったがその時はゲームをしたり備え付けのテレビで面白そうな番組を見つけて話したりしていた。


その日は医者から散歩に行く許可が貰えたらしく、久々に病室から出て3人で病院の庭に行った。


「ん〜!久しぶりの外!!もう結構暑くなってきたね。」


これぞ夏って感じ〜と僕にはわからなかったが肌で夏を感じながらそう言った。


伊織も


「確かに、こうやって改めて言われると感じるような気がする!さすがながいっち!」


なんて言うから僕も頷くしか無かった。


「この調子で行ったら来週の火曜日くらいに学校復帰かな。」


「本当?良かった。じゃあ水曜日の放課後ぐらいにまたどこか行く?」


「お、郁里から言い出すなんて珍しい。そうだな、行くか!」


「ほんとに?じゃあ私海行きたい!」


「海?まだ早くない?」


「うん、まだ早いけど7月か8月にまた行くから、まず海ってどんな感じか見てみたいの。ダメかな?」


「俺は全然いいよ?この時期なら足くらいなら付けられるだろうし。郁里は?」


「僕もいいよ。せっかくだから行こう。」


「うわ海っていつぶりだろ。短パン履いてこよ!」


そうか、叶音さん来週から復帰なんだ。みんな楽しそうでよかったな。

海も中学1年以来だしちょっと楽しみだな。


帰り道に伊織に


「お前最近楽しそうだよな。」


といつぞや親に言われたことと同じことを言った。


「それ結構前に親にも言われた。そんなに変わった?」


「変わった変わった。めっちゃ話すようになったし。」


お前そっちの方がいいよ、と付け加えられそのまま別れた。


叶音さん感謝することはまだまだいっぱいあるらしい。

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