第21話 撮影現場へ
二日後になり、綾佳の撮影が行われる当日。
撮影は十六時〜十九時にあり、海里が学校から直接現場に向かう事になる。
「やべ、俺の集合時間は確か十七時だったよな。急がないと間に合わないじゃん」
海里は腕時計を確認すると十六時を回っていた。
集合の時間まで残り一時間。
慌てて校門まで走ると、少し離れた所に見覚えのある車が来ていた。
「あれは…北島さんの車では?」
見覚えのある車の方に近寄ってみると、やはり北島の車であった。
そして運転席の窓が開き、中から北島が顔を出した。
「海里くん、学校お疲れ様。さぁ、時間がないわよ。急いで乗って!」
「あっ、はい」
言われるがままに、海里は車へと乗り込んだ。
車が走り出し、海里は何故ここにいるのか聞く事にした。
「北島さん、現場にいるんじゃなかったのですか?」
「瀬倉さんが「マネージャーは、海里くんを迎えに行ってね!」と言われたので、来たのです」
「その、なんと言うか…ありがとうございます」
なんだか申し訳なくなってしまった海里は、とりあえず感謝をした。
「問題はありません。寺本さんが遅刻する方が問題になるので、すいている道から行きましょう」
そう言うと、北島はナビをいじり出して、出された指示に従って勢いよくハンドルを回した。
海里は左右に揺られながら、「安全運転でお願いします!!」と叫んだ。
「着きました。あの扉から入って真っ直ぐ進めば、瀬倉さん達がいる現場になります」
「分かりました。北島さんは?」
「私は車を置いてきますので、先に向かっててください」
「分かりました」
学校から出て、五十分で現場に到着した。
車で来てなかったらかなりギリギリに着いていただろうと思いながら、説明された扉から中に入っていった。
「確か、ここを真っ直ぐ進めばいいんだよな」
中に入ると長い廊下が現れた。
その道をどんどん進んでいくと、複数の声や音が聞こえてきた。
「いいよ〜次はこのポーズで撮ろうか」
「はい!」
その中には綾佳の声もあり、海里は少しだけ早歩きをして向かった。
「おぉ〜やっぱり撮影現場は凄いな」
「君、ここは関係者以外立ち入り禁止だよ。どこから入ったか知らないけど、さっさと出ていかないかね?」
着いてすぐに撮影風景に目を奪われていたら、スタッフの一人に声を掛けられた。
そして海里の事をファンか不審者だと思ったらしく、今にも警備員を呼びそうな勢いで注意された。
海里は一言「関係者です」と言おうとした時、奥の方から声が聞こえてきた。
「スタッフさーん、その人は私のバイトマネージャーなので、追い返さないでください!」
「あっ、そうなんですか。すみませんね、見かけない顔で学生服だったのでファンかと思いまして」
「いえ、こちらこそ紛らわしくてすみません」
お互いに謝り、海里はカメラやスタッフの後ろの方に行き、待機していた。
そして一旦休憩になり、海里の元に綾佳がやって来た。
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