創作に使えそうな神話・神々
久守 龍司
アステカ神話とは
アステカという国のことはよく知られていますが、国家の中枢にも大きく関わったその信仰については、あまり知らない人が多いのではないでしょうか。
1521年、スペインのコンキスタドールと内部抗争によってアステカ王国は滅び、アステカの神々は民間信仰に僅かに残るのみとなりました。ゲームや小説で時折取り上げられることこそあれ、脚色によって大いに誤解されたまま世に広まってしまっているようです。
アステカ神話の資料の中でも大きな位置を占めるのが絵文書(codex)です。スペインによる征服の前に描かれたものと後に描かれたものがあります。征服前に描かれたものはキリスト教の影響はありませんがやや現代の鑑賞者には不親切な設計となっており、一方で征服後に描かれたものは偏見を大いに含みつつも、図像や神話の解説が書き込んであるものが多いです。スペイン人によって焚書され、現存しているものは僅かです。また、征服前からアステカによって大部分が焚書されているため、それ以前の信仰についてはよく分かっていません。私が知らないだけかもしれないです。現在残っている絵文書については、インターネットで無料で閲覧できるものもあります。
征服前の絵文書
・ボルジア絵文書(codex borgia)
おそらく一番有名な絵文書だと思います。
・ボルボニクス絵文書(codex borbonicus)
ブルボン絵文書とも。鮮やかな色使いが特徴的な絵文書です。
・オーバンのトナラマトル(Tonalamatl Aubin)
ボルボニクス絵文書と混同される時がありますが、まったくの別物です。ところどころ顔が大きくなりすぎて、とんでもない絵面になっているところがあります。爪をターコイズ色で塗っています。
・バチカンB絵文書(codex vaticanusB)
征服後のバチカンA絵文書とは画風も時代も地域もなにもかも違いますが、こちらは征服前です。Bですが征服前です。画風はボルジア絵文書に似ている気がします。
・ロード絵文書
・フェイエルヴァリー=メイヤー絵文書
・ウィーン絵文書
ミシュテカの絵文書なのでアステカではありませんが、周辺地域なのでここに入れておいてもいいでしょう。
・ズーシェ=ナトール絵文書(codex zouche-nuttall)
こちらもミシュテカの絵文書なのでアステカではないです。
征服後の絵文書
・フィレンツェ絵文書(florentine codex)
解説文が細かいです。装束はシンプル。
・メンドーサ絵文書
装束などが詳しく描かれているので資料として大いに役に立つと思います。
・テレリアーノ=レメンシス絵文書(codex telleriano-remensis)
私の主観ですが、この絵文書が最も複雑な装束をしています。
・バチカンA絵文書(codex vaticanusA)
・マリアベッキアーノ絵文書(codex magliabechiano)
生贄から心臓を取り出す儀式の絵が有名です。アステカ文明といえば……で高確率で登場します。
・トゥデラ絵文書
・イシュトリルショチトル絵文書
テスココ(アステカとともに三国同盟を構成していた国のひとつ)王家の末裔であるアルバ・イシュトリルショチトルによって記された絵文書です。
・ラミレス絵文書(codex ramírez)
なかなか精緻な描き方をしているのが特徴です。キリスト教の影響がかなり強いです。
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